ジャニーズ、宝塚、K-POP…“推し”に年間100万以上捧げる「オタク女子」の金銭感覚

©株式会社マネーフォワード

日本全国を飛び回るだけでなく、海外公演にも赴く。ツアーの模様を収めたDVDが発売されると即座に買い求め、グッズ収集にも余念がない。雑誌を集め過ぎるも捨てられず、部屋が傾きそうになる――。

“推し”に人生を捧げている“オタク”は一体、どのようにお金をやり繰りしているのでしょうか。平成元年生まれのオタク女性4人組から構成される『劇団雌猫』の中から、ジャニーズJr.の『美 少年』を推しているユッケさん、韓国のアイドルグループ『SEVENTEEN』(以下、セブチ)と『宝塚歌劇団』を愛するかんさんにお話を聞きました。


――年間、いくらオタク活動にお金を使っていますか

ユッケ:100〜150万円くらいですかね。コンサートのチケット代や遠征費、グッズ、雑誌など全部合わせての金額です。友達はボーナスで高いバッグを買ったり、ハワイ旅行に行ったりする。私はそうしない代わりに、推しにお金をつぎ込む。使い方が違うのだと思います。

かん:私も、概算で100万円かな。車やバイクを持っている人と比べると、お金はかからないんじゃないですかね。駐車場代や車検代、ガソリン代などがかさむでしょうから。

ユッケ:今年のお盆休みに、ロサンゼルスまで美少年の公演を観に行きました。1日目は、オープンスペースでのライブと街中を練り歩くパレード。この2つは無料で観られました。2日目、ジャニー(喜多川)さんのお父さんが住職をしていた高野山アメリカ別院で行なわれた公演は20ドルと安かったです。航空費と宿泊費など合わせて約30万円でした。

かん:K-POPのアイドルはワールドツアーをするので、日本の他にも韓国、シンガポール、台湾などにも行きます。近隣諸国では1万円くらいで現地のエアビー(Airbnb)を借ります。友達とシェアするので、1人1泊2,000円程度で済みますね。飛行機代は、その時々で値段が変わるので、安いのを買い逃したときは悔しい思いをします。でも、チケットを先に取るので、必ず現地に行かねばならない。

ユッケ:セブチのワールドツアーの時に宝塚の公演が入ったら、どうするの?

かん:近場を選ぶなあ。海外に行くと3日は潰れるから。その間、宝塚は3回観られる。

ユッケ:質より量を取る?

かん:どっちも質はいいよ(笑)。宝塚は「花」「月」「雪」「星」「宙」と5組あって、1組が年に約2回、本公演をする。私は好きな宙組の公演を1公演につき15回ずつくらい観るので、チケット代8,800円×15回×2公演=26万4,000円かな。K-POPのセブチも同じ額くらい。だから、チケット代で計50万円ほどかな。

ユッケ:ジャニーズはコンサートが7,000円くらいで、舞台が1万円ちょいくらいかな。昔は孤高のオタクを気取っていたんですけど、最近は意識してオタク友達を増やすようにしています。ジャニーズって、チケットがなかなか取れないんですよ。だから、複数人の仲間で別々の日を申し込んで、当たった人同士で交換し合う。今年の夏、上手くハマって20公演分も手元に来たんですよ。結局、5枚譲ったので15公演を観に行きました。

かん:仲間は重要だよね。会社の人には、オタク活動のことを自分からは話さないけど、聞かれたら言うようにしています。周りに宝塚好きと知られていると、チケットを譲ってもらえることがある。だから、年上の女性や取引先には絶対言っておいたほうが良いです。好きな人がいるはずなので。

同人誌の発行で話題になった「劇団雌猫」。オタクを題材にしたものをはじめ、メーク本やお金の本の著作もある

――グッズなどにもお金が掛かりますよね。

かん:宝塚はあまりグッズがないんですよ。うちわもペンライトもなく、公演ごとに買い替えるものもない。好きな生徒さんの舞台写真やポストカードを買うくらいかな。ポストカードは1枚150円。ただ、公演ごとのブルーレイディスクが10,800円します。

ユッケ:グッズではないんですが、ジャニーズはとにかく雑誌が多くて。『duet』『POTATO』『WiNK UP』『Myojo』『ポポロ』の5冊は毎月買っていて、約3年分保管しています。他にも『TVガイド』『ザテレビジョン』などに載ることもあるから、それは好きな所を切り取って残している。雑誌代だけで月1万円程度行くことも。引っ越しの時も、捨てずに運んでもらいました。部屋に穴が開きそうです。

かん:荷物が多いから、1階に住んだほうが良いな(笑)。

ユッケ:業者の人が「僕の妹もHey! Say! JUMPのオタクなので、お気持ちは分かります」と言って、全部運んでくれた。

かん:素敵だね。私は、トレカに全振り(※一ヶ所にお金を掛ける)したいタイプ。トレカは幅を取らないし、ギャブル性があるから好き。ライブ会場で交換する時、初対面の女子高生ともコミュニケーションを取れるのも楽しい。

ユッケ:私は、アクリルスタンドも集めています。1個1,000円で、グループの人数分買うと、『美 少年』なら6人だから6,000円。家に立てて飾ったり、旅行に連れて行って一緒に写真を撮ったりする。複数のオタクでご飯を食べるときは、それぞれの推しをテーブルに並べて。

かん:インスタに、そういう写真を上げがちだね(笑)。

飲み会よりも「トレカ代」

――お金を捻出するために、どんな工夫をされていますか?

かん:極力、飲み会には行かないようにしています。本当に人付き合いが悪い(笑)。会社主催で上司が奢ってくれるなら出向きますけど、推しに使うお金を削ってまで誰かと飲みたいかというと……(笑)。友達とはツイッターで毎日やり取りできるから、改めて膝を突き合わせて語ることはあまりしないですね。

ユッケ:現場(※コンサート)が終わった後の打ち上げくらいかな。近況報告はLINEで済むし。

かん:私は、打ち上げもほとんど行きません。お金も時間も掛かる。せっかく、現場で「キャッー!」と盛り上がって楽しく終わったのに、飲みの席で「このお金でトレカを買い増しできたのに……」とか考えたくなくて(笑)。交際費はほとんどゼロに近いです。

ユッケ:打ち上げは、オタクにとっての聖地に行きます。会場の近くにあれば、ジャニーズのコがテレビで食レポしていた店を予約しておきますね。あと、関ジャニ∞の大倉忠義君のお父さんが社長を務める『鳥貴族』に行けば、大倉くんの実家にお金を入れられる。

かん:派生した知識も増えてくよね。宝塚は、公演でクラシックやジャズの曲をよく使うので、調べて覚えます。すると、その曲がテレビのCMで流れていたりするんですよ!

ユッケ:『美 少年』のメンバーはMCで最新映画の話をするので、私もたくさん映画を観に行くようになりました。ライブを100%楽しみたいですからね。

――さらに出費がかさみますね。

ユッケ:生きていれば、何かしらお金は使いますから。

かん:お金は墓には持っていけないからね。

ユッケ:「走馬灯を増やせ」と会社の尊敬している先輩に言われて。死ぬ時、走馬灯のように人生を振り返る時、楽しい出来事ばかりを思い出せるように生きるんだよって。

かん:みうらじゅんさんみたいなこと言う人だ(笑)。

劇団雌猫
平成元年生まれのオタク女4人組サークル。編著に『浪費図鑑』『だから私はメイクする』等がある。新刊はオタク女子のお仕事事情に迫る『本業はオタクです。』(中央公論新社)

ユッケ

主な活動ジャンルはジャニーズ、女子アイドル、2.5次元。@samizusaki

かん

推しは宝塚歌劇団宙組の芹香斗亜さんと、K-POPアイドルSEVENTEENのジョシュア。@kanrooom