日ハム渡辺、3日前の悪夢振り払う活躍 宮西から「気にするな。思い切ってやれ」

日本ハム・渡邉諒【写真:荒川祐史】

4日のロッテ戦で痛恨エラーで8連敗、切り替えて3安打4打点「取り戻そうと」

■日本ハム 8-7 オリックス(7日・札幌ドーム)

 日本ハムの渡辺諒内野手が7日、本拠地オリックス戦で11号3ランを含む3安打4打点と気を吐いた。お立ち台では「ここ数試合、チームに迷惑をかけていたので、今日は取り戻そうと思って打席に立ちました」と率直な思いを吐露し、温かい拍手を浴びた。

 3日前の悪夢を振り払い、大事な場面で結果を出した。初回無死満塁で中田翔内野手が先制犠飛を打ち上げた直後、すかさず右前適時打で畳み掛ける。4回には二死二、三塁でバックスクリーン左に11号3ラン。「ここ数試合、上位の人がチャンスで回してくれて、今日はしっかり還すことができて良かったです」とホッと息をついた。

 ここ3試合快音から遠ざかり、4日のロッテ戦(ZOZOマリン)では守備で痛恨のミスを犯していた。1点リードの8回一死一、三塁で遊ゴロを処理した平沼のトスを二塁ベース上で落球。同点に追いつかれ、リードを守りきれなかった宮西はもどしかしさからベンチでグラブを叩きつけた。チームは9回にサヨナラ負けして8連敗を喫した。

 移動日を挟んで本拠地に戻った6日の練習前、渡辺は宮西のもとを訪れて頭を下げた。何度も修羅場をくぐり抜けてきたベテラン左腕から返ってきた言葉は「エラーしたからキレた訳じゃない。エラーはつきもの。気にするな。思い切ってやってくれ」。大先輩の励ましを意気に感じないはずはなかった。

栗山監督も優しい眼差し「本人も安心したんじゃないか」

 この日8回途中に登板した宮西から改めて「頼むぞ」と声を掛けられたという。試合後に「今日の結果がいいきっかけになればいい」と自分に言い聞かせるように語った渡辺。「吹っ切れたか?」という質問には「そうですね。これを続けていくしかないので。続けられるようにしっかりやります」とうなずいた。

 プロ6年目の今季、二塁の定位置をつかんだ。実質レギュラー1年目。栗山英樹監督は「シーズン中にはいろんなことがあって、疲れ切った中で何をするのかということが課題のシーズン。うまくいかないことがあった時にスパッと切り替えるのは簡単じゃない。(この日の活躍で)本人も安心したんじゃないか」と優しい眼差しを向けた。

 泥沼の8連敗を脱したチームは2連勝。自身の苦い思いも乗り越えた渡辺は「ここから連勝していくしかないので」とチームのために必死で勝利をつかみにいく。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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