岸田氏処遇「安倍後」占う 内閣改造・自民役員人事、政調会長再任の方向

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岸田派議員と企業視察をする岸田氏=手前左から2人目(4日、山梨県)

 安倍晋三首相(山口4区)による内閣改造と自民党役員人事が11日に迫る。「ポスト安倍」の一人に挙がる岸田文雄政調会長(広島1区)は再任の方向だ。ただ、岸田氏が党憲法改正推進本部長を兼務する案も浮上。その処遇は党内でも穏健な「ハト派」で知られる岸田派(宏池会)の今後の路線に影響しそうだ。

 「岸田政調会長 続投へ」。4日午後、報道機関が一斉に速報した頃、岸田氏は山梨県にいた。夏恒例の派閥研修。現地企業を視察した後、「人事はノーコメント」。取り囲む記者団をけむに巻きながら、口元に笑みをのぞかせた。

 遠巻きに見守った閣僚経験のある議員が評した。「セカンドベスト(次善)だな」

 ▽「御の字」との声

 岸田氏が望んだのは歴代首相の多くが経験した党ナンバー2の「幹事長」とされる。今の二階俊博幹事長は80歳と高齢で、在任期間は3年を超して歴代最長。一部に勇退論もあった。

 しかし安倍首相は長期政権を支えてきた二階氏の手腕を評価し、留任させる意向を固めたとされる。岸田氏の望みはかなわない。でも岸田派に落胆ムードはない。むしろ「御の字」との声さえ漏れる。「7月の参院選の結果が痛恨」(中堅議員)だったからだ。

 岸田氏のお膝元の広島選挙区で落選した最高顧問溝手顕正氏をはじめ、4人の「同志」を失った。岸田氏の求心力低下やポスト安倍レースへの影響がささやかれた。

 同じ1993年初当選の同期である安倍首相からの政権の「禅譲」を目指す岸田氏にとって、現状維持は首相の座を狙う位置に踏みとどまる最低条件とも言えた。

 ただ、岸田派内に漂う安堵(あんど)感にさざ波が立つ。改憲を悲願とする党総裁の安倍首相が、自らの直轄機関である党憲法改正推進本部も岸田氏に任せるとの見立てだ。

 岸田派には9条改憲に慎重な意見が多い。その旗頭が政界引退後も名誉会長を務める古賀誠・元党幹事長。「岸田さんは被爆地の選出。ポストありきでなく、平和を唱え、派閥を鍛え直すべきだろう」。研修直前の2日、国会近くの事務所でインタビューに答え、強調した。

 ▽二階派と同数に

 岸田派は現在46人。細田派、麻生派、竹下派に続く人数を擁する第4派閥だが先日、新加入があった二階派に並ばれた。二階氏は有力な次期首相候補と目されるようになった無派閥の菅義偉官房長官に近い。また、首相側近の竹下派の加藤勝信総務会長(岡山5区)は経済閣僚への起用の見方が強まる。

 新体制の下、各派の思惑も絡みながら「安倍後」への動きが脈を打ち始める。

 5日、山梨。岸田氏は1泊2日の派閥研修を打ち上げた後、メンバーたちとゴルフを楽しんだ。ゴルフ好きの安倍首相の勧めで7年ぶりに再開し、コースを回った。新調したのは「ユーティリティー」。ゴルファーの間で文字通り「使い勝手がいい」と好まれる種類のクラブだった。(下久保聖司、桑原正敏)