11年目でプロ初完封のロッテ西野、なぜ先発転向? 吉井コーチが語る適性とは

ロッテ・西野勇士【写真:荒川祐史】

先発転向は今季就任の吉井コーチの発案「変化球を投げるのが好きな子なので」

■ロッテ 4-0 ソフトバンク(7日・ヤフオクドーム)

 7日に敵地ヤフオクドームで行われたソフトバンク戦でプロ入り初完投初完封を飾ったロッテの西野勇士投手。今季4度目となった先発マウンドは、尻上がりに調子をあげて5回以降は1人の走者も許さない快投だった。9回を投げて4安打6奪三振。最後までスコアボードにゼロを並べ続け、11年目で初の完投勝利を、初の完封で飾った。

 初回に牧原、中村晃と連打を許して、いきなり無死一、二塁のピンチを招いたが、クリーンナップを封じて無失点で切り抜けると、徐々に調子を上げた。4回には2死一、三塁とされたが、ソフトバンクの重盗をチームメートが阻止。5回以降は1人の走者も許さず、9回は圧巻の3者連続奪三振で締めくくった。

 プロ11年目を迎えた今季。5年目の2013年には先発で22試合に登板し9勝をマークしているが、その後は中継ぎや抑えが主な役割だった。今季も7月までは中継ぎ。7月11日に登録抹消となると、先発に配置転換となり、約1か月後の8月5日の楽天戦で先発として2年ぶりにマウンドに上がった。

 先発への配置転換は、今季から就任した吉井理人コーチの発案だった。「良かったですね。真っ直ぐも強いし、変化球を投げるのが好きな子なので、今日も半分以上は変化球じゃないかな? いいところに決められていた」と、この日の投球を評価した吉井コーチだが、果たして、西野のどこに先発としての適性を見たのだろうか?

2016年には増井を先発転向させた経験を持つ吉井コーチ「何試合か投げれば大丈夫だろう」

 この日の試合後、吉井コーチは「彼は球種が多いですから。リリーフをやってても、ハマるところがなかった。思い切って監督に言ったら、やってみようと」と語り、1つのポイントを明かした。「いい変化球を持っているんですけど、短いイニングでだと使えないんですよ。今日も投げていたカーブとか」。

 カーブ、フォーク、スライダーなどを操る西野。だが、1イニング、10球から20球程度しか投げないリリーフだと、その変化球を活かしきれていなかった。そこで、2013年、そして2017年に経験しており、球種の多さで投球の幅を出せる先発への配置転換を思いついたという。

 わずか1か月ほどの調整期間での配置転換。突然の転換にも「過去にやっていた投手なので、何試合か投げれば大丈夫だろう」と吉井コーチは思っていた。そして、「増井で1回やっているのでいけるだろうとも思っていました」とも。日本ハムで日本一になった2016年。ルーキーイヤーで先発を経験していた増井浩俊(現オリックス)をシーズン中に先発に配置転換。8試合の先発で6勝をマークした。その時の経験も頭にはあった。

 西野は今季4度目の先発で初完投初完封勝利。通算では231試合目の登板だったが、先発としては31試合目の先発だった。ここまで先発で4試合に投げて、最も多くても3点しか失っていない。西野勇士。シーズン終盤戦、そしてCSと、ロッテの鍵を握る投手になるかもしれない。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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