小田原が誇る東海道の超定番駅弁「鯛めし」【地元民実食ルポ】

竹の皮包みのおにぎり弁当とともに明治21年に創業した東華軒は、明治40年から「鯛めし」を販売しています。「小鯵押寿司」も東海道を代表する有名駅弁ですが、「鯛めし」は、発売以来、東華軒の売り上げで不動の1位なのだそうです。子供の頃に飽きるほど食べた筆者が実食ルポ。

東華軒 国府津駅売店

東華軒のお弁当は、小田原駅売店4軒(新幹線改札内3軒、東口1軒)、熱海駅売店(コンコース)、国府津駅売店の6軒で販売されています。

今回は国府津駅売店にやってきました。国府津駅は、神奈川県小田原市内にありながらも、JR東日本の東海道線と、JR東海御殿場線が利用できる稀有な駅。そのロータリーの、駅の向かいに東華軒の売店はあります。

売店の横には、駐車場があるのですが、ここから海が見えます。国道1号線、東海道の松、西湘バイパスの向こう側に見えるのは、相模湾です。

人気No.2の「小鯵押寿司」と人気No.3のおたのしみ弁当を横目に。

人気No.1の「鯛めし」(830円・税込)を購入!

鯛めしの思い出

先日東華軒のホームページをみたところ、「小鯵押寿司と並び東海道を代表する鯛めしは、お子様からお年寄りまで、家族みんなで楽むことが出来る数少ない名物駅弁とされています。」という紹介がありました。それを見て思ったのは、率直に言って「そんなわけないだろ」でした。

地元で育った筆者は、子供の頃本当によく鯛めしを食べる機会がありました。ミニバスケットボール部のイベントや子供会(地区ごとの集会)などで、頻繁に出てきたんですね。鯛めしの地味さよりも、おかずに対する不満が強かったです。エビフライや唐揚げとかけ離れた、あさりのしぐれ煮とわさび漬けです。まるで初めて食べるような気持ちで食べてみたり、1人、試行錯誤していましたが、なんで大人はこんな渋いお弁当を食べさせるのかと、怒りさえ感じていたし、それが子供たちの総意だと思っていました。

あるとき、八角形の箱を見た筆者は、「え~また鯛めしだね?」とみんなに言ったのですが、「え、鯛めし美味しいじゃん、甘くて」と返され、もやもやを共有できなかったことを、今30年ぶりに思い出しました。・・・ということは、つまり・・・子供にも人気だったのです!

鯛めしを実食

開けてみると、鯛めしの中央が凹んでいます。

これは、お箸とスプーンが、内蔵されているから。当時なかったスプーンが付いているのは、時代の流れでしょうか。

この鯛のおぼろが、とっても目が細かいのですね。さくらでんぶのような感じです。東華軒によると、手もみで仕上げていて、とても手間がかかるのだそうです。

鯛めしをさっそく一口。優しい甘さを感じます。やや硬めに炊かれた茶飯とおぼろが絶妙なバランスなのですが、鯛のうまみを感じるには、おぼろ単体で食べた方が分かりやすいでしょう。割としっかり魚の味がします。食感は、しっとりともふわふわともつかない、不思議なものです。

久々のあさり佃煮は、しっかり醤油味でほんのり生姜の香り。わさび漬けは容赦ない辛さ。どちらも、鯛めしによく合います。こんなにいいおかずだったとは!

特に味付けのされていない、蒲鉾とちくわは小田原の名物です。そして、梅も名産品なんです。

スプーンでも食べてみようと思ったのに、気づいたら食べ終わってしまいました。ゆず大根漬もなかなかのお味でした。

後から箱を見て気づいたのですが、おぼろには、鯛以外のものも入っています。オキサワラ、クロカジキ、アブラガレイの方がマダイより先に原材料名に書かれているので、含有量が多いのですね。一瞬がっかりしましたが、かえってこの方が、旨味が出やすいかもしれません。

そこまでサイズが大きくないので、食後にデザートを食べる余力はあると思います。そんな量もうれしいですね。

東華軒 国府津駅売店

所在地:神奈川県小田原市国府津4丁目2

電話:0465-47-5286

営業時間:8:30~18:30

HP:http://www.toukaken.co.jp/index.html

[All photos by Shio Narumi]

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