「トールキン 旅のはじまり」- 絶望の時代に、友情と愛を信じた

絶望の時代に、友情と愛を信じた

ファンタジー小説の傑作であり、20世紀最高の文学作品として知られるJ・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』、そして『指輪物語』。魔法使い、ホビット、ドラゴン、エルフなどが行き交う神話の世界と壮大な冒険譚は、いったいどうやって生み出されたのだろうか? この映画は、あまり知られていない作家トールキンの半生を描いた伝記ドラマである。 12歳で孤児となったトールキンは、後見人のモーガン神父の助けもあって名門校への入学をはたす。そこで彼は初めて親友と呼べる3人の仲間と出会い、秘密クラブを結成、「芸術の力で世界を変えよう」と誓いあう。そして同じく孤児であり、生涯の伴侶となる女性エディスとの出会いもトールキンに創作への道を開くのだ。しかし第一次世界大戦が勃発し、戦争は彼らの運命を大きく変えてしまうことに。絶望の時代に、友情と愛を信じたからこそ、トールキンは不朽の名作を生み出すことができたのだと思う。(加藤梅造)

© 有限会社ルーフトップ