ママが呼び掛ける「家庭防火」 自主防災組織、三浦に誕生

活動開始に向け、意気込む「三浦市婦人防火クラブ」のメンバー=三浦消防署

 「家庭防火」を原点に掲げる自主防災組織「婦人防火クラブ」が、神奈川県三浦市に誕生した。小中学生を育てる、市PTA連絡協議会所属の母親26人で発足。家庭での火災予防の知識や技術を習得・普及するとともに、市内で7割程度にとどまる住宅用火災警報器の設置などを呼び掛け、地域の防災意識を高める。

 婦人防火クラブは、火を扱う機会が多い女性を中心に1962年以降、全国で組織され、2017年4月までに計8407団体が発足。県内では計103団体に、1万4428人が参加している。

 横須賀、三浦2市は17年4月、消防広域化の運用を開始。横須賀に17のクラブが存在する一方、三浦にはないことから、横須賀市消防局三浦消防署が働き掛け、同協議会が応じた。同消防署は「地域の防火・防災を子育て世代に担ってもらうことで、子どもや若者の意識も高めてもらいたい」と期待する。

 26人は今後、年4回ほど開かれる研修会で火災予防の知識などを学ぶとともに、訓練にも参加して初期消火の技術を習得する予定。また今年3月末現在、73.4%にとどまる住宅用火災警報器の設置を市内で促進するため、他の保護者や地域住民らに啓発していく。

 29日には同消防署で発足式が開かれ、クラブ員15人が出席。あいさつに立った横須賀市消防局の榎木浩局長は「管内(横須賀、三浦2市)の建物火災のうち、住宅からの出火は全体の7~8割を占める」と説明。「火災予防の知識が少しでもあれば、大きな被害を防げたものも多い」として奮闘を期待。会長に就いた山本若子さん(49)は「幅広く活動していき、防火・防災の輪を広げていきたい」と意気込みを語った。

 同消防署によると、三浦市内では18年、火災が22件起き、4人が死傷した。

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