婚外恋愛のデート代にお金が…48歳主婦のお財布事情

婚活に励む独身女性が多い一方、婚外恋愛にはまる既婚女性も増えている実感があります。「結婚と恋愛は別」と断言する女性たちですが、いざ婚外恋愛をしてみると、デート代を気にするように……善悪だけでは判断できない男女の関係とお金についてのお話です。


不倫なんてするとは思わなかった

28歳で2歳年上の男性と結婚、大学生のひとり息子がいるヨウコさん(48歳)。パートをしながら家計を支えてきましたが、昨年春、息子が大学に入ったことでふっと気持ちが緩んだそう。

「更年期もあるんでしょうね。体調も精神状態もよくなくて。パートも週3回に減らしてもらいました。夫は仕事が忙しいし、息子は学業とアルバイトと遊びで青春を謳歌している。私だけ取り残されたような気持ちになっていました」

そんなときパート先の上司が連絡をくれました。以前から、息子が大学に入ったらパートの責任者になってほしいと言われていたのですが、それができなくなっていたので心配していると言われました。

「もともととてもいい上司で、私も信頼していたので申し訳なくて。一度ゆっくり話しましょうと言われたので、一緒にランチをすることにしました」

職場近くのカフェで会い、私的な状況も含めていろいろな話をしました。

「上司は、それでもやはり責任者になってもらいたいから、体調を整えて早くフルタイムで働いてほしい、と。うれしかったですね。私を必要としてくれる人がいると実感できたので」

いつまでも鬱々としていてもしかたがない、がんばってみようとヨウコさんはフルタイムで働くようになりました。そんな彼女に上司は常に気を遣って声をかけてくれたといいます。

「いつもがんばってくれているからと食事に誘われました。上司と私、同い年なんです。それもあって食事の席では無礼講ということに。若いころの話で盛り上がりました。同じ時代を生きてきた人ってどこか心許せるものなんですね」

知り合って10年近くたつものの、ふたりで食事をしたのは初めてでした。そのときはごちそうになったので、次はお礼にとヨウコさんから食事に誘いました。

「何度か食事して、あるとき店を出たら酔ったせいもあって私がよろけたんです。それを彼が抱きとめてくれたんですが、ひどく妙な気分になりました。というか、あ、私、この人が好きなんだと自覚してしまったんです」

好意をもっているから食事をしていたのですが、「男性として好き」というときめきは封印していたのでしょう。その封印が解けてしまったのです。こうなると恋心に蓋をするのはむずかしいもの。

「彼も、ここがいいタイミングだと思ったんでしょう。『前から好きだった』と耳元で囁かれて。情けない女だと思われるかもしれないけど、その瞬間、私の理性が崩れました」

暗黙の了解が成立し、ふたりはそのままホテルへと足を踏み入れました。

お金をやりくりしても関係を続けたい

不倫は男に経済力がなければできないとよく言われますが、実態はそうではありません。お互いに家庭がある場合は、ふたりでやりくりしながら関係を続けているのが実状です。

「彼は高校生を筆頭に3人子どもがいるので、これからまだまだ学費もかかる。給料がどのくらいか私は知っているので、彼には無理はさせたくないと思ったんです。だから時間をやりくりをして、ホテルへ行くのは平日の昼間。週末が休みの仕事ではないので、それはいくらでも調整が効きます」

ラブホテルのサービスタイムを使って、月に1回か2回、ふたりだけで濃密な時間を過ごします。それは彼が支払ってくれますが、食事だけのデートをするときは彼女が払うようにしています。

「最初、彼は全部負担しようとしたのですが、彼にそんなにお金を使わせたくなかった。そうはっきり言いました。そうしたら彼が、『ありがとう』と涙ぐんで。とにかくふたりだけで過ごす時間を大事にしたい。長く続けていきたい。だからこそ時間的にも経済的にも無理をしないで、率直に話し合ってやっていこうということになりました」

彼との関係が始まってから、ウソのように更年期症状が消えてしまったというヨウコさん。心身ともに力がみなぎるような感覚があるといいます。

「自分が不倫なんてするとは思わなかったけど、人を好きだという気持ちを止めることはできませんでした。子どもが小さかったら別だけどうちはもう手もかからないし、夫とは仲が悪いわけではないけど男女の関係はないし。そんなとき彼と深い関係になって、もう一度、元気に生きる気力を与えられたような気がします。おしゃれにも目覚めました。デート代や洋服代は、夫の給料から出すわけにはいかないから、がんばって仕事をしています」

ヨウコさんは艶のある肌を上気させながら、うれしそうにそう言います。こういう女性を目の当たりにすると、不倫を善悪で断罪することはできないと改めて感じます。

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