島原産 陸上養殖「ジオアワビ」 新商品の缶詰完成

新商品の缶詰「ジオアワビ」

 果物などの缶詰製造を手掛ける太洋食品(長崎県島原市)が、アワビの陸上養殖に取り組んでいる島原漁協とコラボし開発した新商品の缶詰「ジオアワビ」が完成。6日、島原市役所で古川隆三郎市長にお披露目した。

 市農林水産課などによると、低迷する漁船漁業の補完などを目的に、同漁協は2011年度にアワビの陸上養殖を開始。県内ではほかに、対馬や大村などでも陸上養殖しているという。
 同漁協は現在、2カ所の養殖施設で計9万個を育成。アワビ養殖では通常、外国産の飼料を餌にするが、同漁協は地場産ワカメとコンブだけを使用。鮮やかな緑色の殻に、磯の香りと歯応えの良さが特徴という島原産を「ジオアワビ」のブランド名で販売している。
 同社が商品化した水煮缶の原材料はアワビと食塩のみ。3年物のアワビ(80グラム)を1缶に2個半使う。素材そのものを生かそうと、シンプルに味付け。商品開発では、加熱によりアワビの身が元の大きさの3割に縮むため、詰め込む量を試行錯誤。煮る際の温度や時間のほか、塩分濃度を決めるのに苦労したという。
 加熱は2回。新鮮なアワビを一度煮て、身を殻から外し缶に詰める。さらに120度で40分加熱し殺菌処理するため、3年の長期保存ができる。企画から1年、開発期間半年で完成。同社は主にかんきつ類の缶詰を製造しているが、魚介類を使った商品は、赤貝、ブリの缶詰に次いで3品目で、島原漁協とのコラボは初という。
 6日、水元敦実社長(72)や吉本政信組合長(59)ら計6人が市役所を訪れ、古川市長に新商品を紹介。水元社長は「社員が好奇心、チャレンジ精神をもって開発に取り組み短期間で完成できた」と報告。試食した古川市長は「アワビそのものの食感と味が完璧」と感想。吉本組合長は「商品開発はありがたい。ジオアワビを地元企業に今後も活用してほしい」と話した。
 1缶80グラム(固形量40グラム)で3千円(税抜き)。1日から東京の県アンテナショップ「日本橋長崎館」で販売中。今後、県内外の百貨店などでも販売予定。問い合わせは同社(電0957.63.0333)。

新商品の缶詰「ジオアワビ」を紹介する水元社長=島原市役所外港庁舎

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