ハリウッドの異端者にして鬼才、デニス・ホッパーによる革命的傑作『ラストムービー』が31年ぶりに劇場公開決定!

1969年にアメリカ文化の記念碑とも言える初監督作『イージー★ライダー』を発表したデニス・ホッパーの監督第2作であり、“呪われた映画”、あるいは“革命的な傑作”とも言われる『ラストムービー』(1971年公開)が、12月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーとなることが決定した。

1988年以来31年ぶりの上映、オリジナルネガから4Kスキャン・4K修復が施された最新素材での上映となる。

『ラストムービー』は、インディペンデント映画史上空前の興行収入を叩き出した初監督作『イージー★ライダー』でカンヌ映画祭・新人監督賞受賞、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされ、一躍時代の寵児となったデニス・ホッパーが、最終編集権を含む完全なクリエイティヴの自由を得て念願の企画を映画化した渾身の監督第2作。

当時、ユースカルチャー市場を取り込むために、予算100万ドル以内で監督に最終編集権を保証するかたちでピーター・フォンダの『さすらいのカウボーイ』(1971年)、モンテ・ヘルマンの『断絶』(1971年)、ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』(1973年)とともにユニヴァーサルが製作した一本だ。

脚本は、ホッパーが兄貴と慕ったジェームズ・ディーン主演の名作『理由なき反抗』(1955年)を書いたスチュワート・スターン。

ホッパーは次第に正気を失い狂気に陥る主人公カンザスを自ら演じ、ベテラン女優ジュリー・アダムス、映画監督のサミュエル・フラー、先日惜しくも他界した盟友ピーター・フォンダ、ロックの殿堂入りも果たしたママス&パパスのミシェル・フィリップス、本作の音楽も手がけたシンガーソングライターのクリス・クリストファーソンなど錚々たる面々が共演した。

だが、編集作業が1年にわたるという狂気に満ちたその創作は混迷を極め、1971年ヴェネツィア国際映画祭で好評を博すものの、難解な内容と前衛的な構成に困惑したユニヴァーサルのトップの再編集指示をホッパーが断固拒絶、映画は短期間での公開後、ほぼお蔵入りに。

この騒動でハリウッドから干されたホッパーは酒とドラッグに溺れ、映画監督としてはその後約10年間の空白期間を迎えることとなった。

本作は1971年当時ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの三都市で小規模の上映が行なわれたが、昨年のリバイバル公開まで全米で公開されることはなく、日本では1988年、当時アメリカ国外で初めて劇場公開されるもその後のVHS発売以降一度もDVDやブルーレイ化、テレビ放送もなされていない。

映画作りをめぐる物語を幻想的に描き出した本作は、俳優、映画作家、写真家として活躍するハリウッドの異端者デニス・ホッパーだからこそ作れた過激な芸術映画。複雑なプロットや大胆な編集方法で当時のハリウッドを驚愕させたこの失われた傑作が、『イージー★ライダー』製作50周年にあたる本年、スクリーンによみがえる。

【あらすじ】映画撮影のために南米ペルーの村に赴いたスタントマン、カンザスは、撮影後ドラッグに溺れ、放蕩にふけるうち、映画作りを模した村での奇妙な儀式に巻き込まれる。やがて虚構と現実の境目を飛び越えためくるめく世界へと突入するが──。

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