国境なき医師団インターナショナル 新会長にクリストス・クリストゥ医師が就任

国境なき医師団(MSF)は本日、MSFインターナショナルの新会長にクリストス・クリストゥ(Christos Christou)医師が就任したと発表した。クリストゥ医師は本年6月のMSFインターナショナル総会で選出された。 

国境なき医師団インターナショナル新会長 クリストス・クリストゥ医師 © MSF

国境なき医師団インターナショナル新会長 クリストス・クリストゥ医師 © MSF

MSF活動歴

クリストゥ医師は2002年よりMSFに参加し、以来、人道危機の現場で多くの職務を経験。最初の派遣地ギリシャでは、移民と難民の診療に当たり、2004年と2005年にはザンビアのHIV/エイズプロジェクトで活動した。その後、活動を休止して数年間、外科医として研鑽を積み、2013年からは南スーダン、イラク、カメルーンなど多くの紛争地などで救急外科医として活動してきた。

現職に選出される以前は、2005年よりMSFギリシャ事務局の初代事務局長を務め、以降、同副会長、同会長を歴任した。 

学歴・職歴

クリストゥ医師はギリシャ中部の小さな町トリカラの出身。同国テッサロニキのアリストテレス大学医学部を卒業し、国立カポディストリアコス・アテネ大学で外科博士号を取得。またアテネ大学で国際保健・健康危機領域の修士号を取得したほか、教授を務めている。

その後は、一般・救急外科を専門にしてエヴァンジェリズモス病院移植外科に勤務。2013年には英国ロンドンに拠点を移して大腸肛門外科分野のシニア・クリニカル・フェローとしてキングス・カレッジ病院に勤務。2018年にはノース・ミドルセックス大学病院の大腸肛門救急外科医長に就任し、同年、欧州大腸肛門病学会会員号を取得した。 

腸閉塞の12歳の男児を診察するクリストス・クリストゥ医師(2013年6月、南スーダン)© Isabel Corthier/MSF

腸閉塞の12歳の男児を診察するクリストス・クリストゥ医師(2013年6月、南スーダン)© Isabel Corthier/MSF

前会長退任に寄せて

クリストゥ医師の就任により、前会長ジョアンヌ・リュー医師の任期が満了した。同医師の退任に当たり、MSFインターナショナル事務局長クリストファー・ロックイヤーは次のように述べている。

「MSFを代表してジョアンヌは、世界中の人びとと国家に対し、危機下にある人びとの現実を注視するよう徹底して働きかけました。任期中には、西アフリカのエボラ流行(2014年~2016年)やアフガニスタン・クンドゥーズの病院爆撃(2015年)が起き、その度にジョアンヌは傷ついた人びとのため、国際社会に声を上げ続けました。また極端な危機や紛争下で活動中のMSFチームを支え、イエメンからシリア、中央アフリカ共和国などの現場を踏みました。また特に彼女は、メキシコ、リビア、欧州などでMSFチームが目撃している非人道的な移民政策がもたらす残虐性についても、声を大にして世間に訴え続けたのです」 

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