【台風15号】始発から入場規制、倒木、停電… 湘南・西湘地域にも多大な影響

入場規制された改札前から駅前バスロータリーまで伸びた通勤客らの列=9日午前8時15分、JR平塚駅

 8日夜から9日朝にかけて県内を通過した台風15号は、湘南・西湘地域でも猛威を振るい、各方面に多大な影響を与えた。

 平塚市では唯一の鉄道駅となるJR平塚駅では始発時間から改札の入場規制を行い、列車の運行再開を待つ通勤客らが午前7時前から長蛇の列をつくった。

 当初、運転再開のめどとされた同8時前には一時的に解除した規制をすぐに再開。始発電車を待つ通勤客らの列は同9時半には400メートルを超え、駅前のバスロータリー東側にぐるりと回った上、周辺の商店街まで達した。

 京急線穴守稲荷駅(東京都大田区)まで通勤するパート女性(58)は「どんなに遅れても必ず出勤するように言われている。運転が再開するまで待つしかない」と困った様子で列に並んだ。一方でJR根岸駅(横浜市磯子区)近くの会社に勤める男性(48)は「電車が動かないとは知っていたが、こんな状況とは。職場の仲間とは『休める人は休もう』と連絡を取り合っている」とスマートフォンの画面を見つめた。

 平塚市内では住宅8カ所の屋根などが破損、倒木や道路に物が飛散するなどの被害も計53件あり、市担当者が対応に追われた。

 藤沢市は建物半壊1件、一部損壊6件、倒木40件超など。江の島ではクレーン車が倒れ、電線が切れたため、約100軒で最長9時間近く停電した。

 寒川町では町立寒川中学校の門(銅製、高さ1.5メートル、幅3メートル)が倒壊したほか、2階建てアパートのトタン屋根が一部はがれ、住民2人が避難。町道沿いの建物のフェンスが道路上に倒れ、一時通行止めになるなどした。

 小田原市は鴨宮の住宅の窓ガラスが強風で割れ、小八幡では物置が倒れて市道をふさいだ。南足柄市では消防団の詰め所の窓ガラスが割れるなどした。

 真鶴町で屋根の一部が吹き飛ぶ被害があり、真鶴半島では倒木による通行止めが複数箇所であった。

 主要道路は西湘バイパス(下り線)、小田原厚木道路(上下線)がともに全線で通行止めとなり、国道135号も段階的に一部通行止めとなった。箱根町の国道1号は大平台で倒木のため一時不通となった。

 広範囲にわたって停電が発生。小田原署管内の8カ所、松田署管内は13カ所で信号機が消灯した。両署員が自家発電機を持って駆けつけて復旧。両署によると、信号機が消えたことによる事故はなかった。

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