相模原・県央地域も8日夜から9日未明にかけて、台風15号の強風に見舞われた。相模原市内で避難所に向かっていた男性が転倒し軽傷を負ったほか、工事現場の足場が崩れたり、木が倒れたりする被害が相次いだ。鉄道が始発から運休し、厚木、海老名両市が避難勧告をするなど、市民生活に大きな影響が出た。
◆足場崩れ 資材散乱
相模原市によると、緑区で8日午後7時すぎ、80代の男性が避難所に向かう途中に転倒し、頭を打つなどして軽いけがをした。
避難勧告を出した海老名市では、同市泉1丁目の社宅の解体工事現場で足場が崩落。近くを走るJR相模線の線路内に資材の一部が散乱した。工事現場近くに住む男性(81)は「外の様子が気になって午前5時半ごろに外出したら、線路内に工事現場の骨組みやパネルなどが覆いかぶさっていた」と語った。
◆倒木、国道通行止め
他にも強風による被害は各地で発生。愛川町田代の国道412号では道路脇の樹木が倒れて幅員約10メートルある片側1車線の2車線道路をふさぎ、9日午前4時から通行止めとなった。
現場では幹から枝を切り落とすなどの復旧作業が進められ、午後3時ごろに通行止めが解消。同日正午ごろ、徒歩で通り掛かった近くの女性地方公務員(57)は「職場に一晩泊まって帰宅してきたら通行止めで驚いた」と不安げな表情を見せた。
厚木市下荻野の史跡公園「山中陣屋跡史跡公園」でも、2本のケヤキが倒れているのを確認。1本は園内の公衆トイレの屋根上に倒れ、もう1本は来園者向け駐車場の一部をふさいだ。同市文化財保護課は「公園を当面、立ち入り禁止にしてなるべく早期に撤去したい」と説明した。
◆鉄道長い行列
一方、小田急線と相鉄線、JR相模線が乗り入れる海老名駅では、9日の始発から各社が運行を見合わせたため、再開を待つ利用客で長い列ができた。JR海老名駅では午前10時ごろ、駅員が「線路の安全確認中で、まだホームへのご案内ができません」などと改札前に集まった利用客らへの説明に追われた。
茅ケ崎市内に出勤予定の50代の女性は「会社からは『電車が動いてから来て』と言われているが、落ち着かない。見通しでも何らかの(運行再開の)情報が示されたらいいのだが」と困惑していた。