ビールの「生中」「中生」呼び方問題が決着

©株式会社神戸新聞社

「生ビールの中サイズ」は「生中」?「中生」?(monticellllo/stock.adobe.com)

 「ビール中ジョッキ なんて呼びますか?」酷暑の8月、こんなゆるいタイトルの記事を公開したところ、多くの反響をいただいた。調子に乗って「なまちゅう」と「ちゅうなま」の二択アンケートをすると、前者が圧倒多数に。この問題に決着をつけるべく、日本語のプロに結果を伝えると…。

■生中VS中生

 8月23日から7日間、ツイッターの神戸新聞公式アカウントによるアンケートの結果は、「なまちゅう」96%(うち西日本在住83%、東日本在住13%)、「ちゅうなま」4%(うち西日本在住2%、東日本在住2%)。<東京でも自分のまわりは生中ですね><東京では「ちゅうなま」って言いますよ><東京に住んでた時に「中生」と言ってる・書いてるのにビックリした>などがコメント欄に並んだ。

■言葉のプロの見解は

 専門家はどう見るか。武庫川女子大学言語文化研究所の前所長で、日本語学が専門の日本漢字能力検定協会現代語研究室長の佐竹秀雄さんいわく「東西差は聞いたことはありません」「どちらが正しい、間違いもありません」ときっぱり。…これでは記事にならない。話題を変えよう。

 ーなぜ2つの呼び方が生まれたのでしょう。なまちゅうはよくある短縮言葉ですか。

 「なまちゅうは、長い言葉を短くしただけではありません。『生ビールの中サイズ』という言葉の中から、『生』『中』という、概念だけを抽出し、短くしているのです。スマートフォンをスマホと略すのとはわけが違います」

 佐竹先生の推測では、「暑いから生ビールが飲みたい」というイメージが先にあり、次に大中小のサイズ選択、という欲求の順も背景にあるのではないかという。

 ーでは「ちゅうなま」が生まれた理由は。

 「最近は生ビールが一般化したように思います。生であることは当然になり、識別ポイントは分量に移行し、大中小のサイズが先にくる、ちゅうなまという呼び方が生まれたのではないでしょうか」

 ー先生ご自身は。

 「ちゅうなま、というかなあ。私の場合は、何より大きさが大事です」

■飲食業のベテランは

 「ビールのグラスにもトレンドがあるんですよ」

 東京と神戸で33年の飲食業歴があり、神戸市内で5つの飲食店を経営する「ハネハネ居酒屋のり吉くん」代表取締役の大西紀之さん。ベテランならではの自説も展開してくれた。

 自身は「なまちゅう派」である大西さんによると、「ちゅうなま」も聞いたことはあるが、店内でのビールの注文は「なまちゅう」が圧倒的に多いそうだ。東西差も感じないという。創作居酒屋やイタリアンバルなど、おしゃれな居酒屋が登場した2000年頃、小ぶりなサイズのビール用タンブラーを使う飲食店が増え始めた。タンブラーの容量はジョッキとほぼ同量だが、40~50代の昭和世代の人たちにとっては、細身のタンブラーは容量が少なく見える。そのため、細身ではないジョッキサイズが欲しい!という願いを込め、「生の中ジョッキ」=「なまちゅう」と強調するようになったのではと分析する。

 最後に大西さんがひと言。「居酒屋メニューの呼び名あれこれはまだまだありますよ。チューハイとサワー、お酒のアテとつまみ、ビールのおおびんとだいびん…」

 お酒をめぐる名称問題、まだ終わりそうにない。(ネクスト編集部 金井かおる)