バンライフで日本旅(2)| バンライフの「メリット」と「デメリット」

かつては貧乏旅行の代名詞だった車中泊が昨今、「バンライフ(VAN LIFE)」と呼び名を変えて、旅のスタイルや新たな暮らし方としてフォーカスされるようになりました。バンライフの魅力は、一体どんなところにあるのでしょうか?

バンライフの魅力って?

こんにちは。当連載『バンライフで日本旅』の筆者・SAWAです。筆者にとってのバンライフは、おもしろさに負けず劣らず、ほろ苦いエピソードも目白押し。車暮らしの時間が長くなればなるほど、楽しさと過酷さの混沌のなかで日常が過ぎていくことも・・・。

それでも、バンライフを続けるにはワケがある。ということで今回は、『バンライフの魅力』をテーマに連載をお届けしたいと思います。

バンライフの「メリット」と「デメリット」

ところで、バンライフの魅力を掘り下げる前に、バンライフのメリットとデメリットとは一体どんなところにあるのか?まずは、ここから考えてみたいと思います。

バンライフから感じることは人それぞれですが、ここでは筆者の感じるメリットとデメリットをお伝えします。あくまでも参考程度に捉えていただければと思います。

バンライフのメリット

【その1:旅費を節約できる】

とくに長期で旅をする場合、バンライフの最大のメリットは旅費の節約にあります。家計を圧迫する宿泊費や交通費を抑制できるため、旅費の節約に大きく貢献。節約した費用は、別の部分にまわすことができます。

【その2:時間の制約を受けず、自由な旅が叶う】

車で移動して車で寝泊まりをすることから、時間に制約されない、自由な旅を可能にするバンライフ 。例えば、交通機関の時刻表によって行動が縛られることはありません。また、寝泊まりする場所によっては、チェックイン・チェックアウトといった時間が存在しないことも。そのため、マイペースで旅を楽しめます。

【その3:直感的に行動できる】

時間の制約を受けにくいことから、バンライフなら突然のルート変更や旅程変更も柔軟に対応できます。目的地を決めずに旅をしたり、道中、ふと気になった場所に寄り道したりと、直感で動くことが可能です。直感の先に、旅(人生)がもたらす“偶然という必然”を体験することも。

【その4:自然との距離を近くに感じられる】

ある朝、目が覚めると、車窓から見えるのは今まさに昇ろうとする朝陽。夜がふけると、車窓には月が輝きます。オートキャンプ場、森のなか、海岸線。どこに泊まるのかは自分次第。キャンプにも似た感覚で、自然を身近に感じられます。

【その5:自分にとって本当に必要なものを整理する機会を与えられる】

限られた車内のスペース。バンライフの期間が長期にわたるほど、荷物の量に制限がでてきます。生活必需品に春夏秋冬の衣類、趣味や仕事の道具。生活に最低限必要なものは何か?自分にとって本当に必要なものを考える機会になります。

【その6:防災として】

災害は誰のもとにも起こって欲しくない。これは筆者の正直な気持ちです。筆者は防災に備えてバンライフをしているわけではありませんが、バンライフの知恵が防災に活きることがあります。

バンライフのデメリット

【その1:予定調和にならない】

思いも寄らない車の故障、道路渋滞、気候の影響(例えば、旅先での台風)のおかげで、物事が計画通りにすすまないことも。バンライフの旅に予定調和にを求めるのは困難です。予定調和を求めると、ストレスがたまりますよ(笑)

【その2:天候を読み解いて、行動する必要がある】

長距離移動となれば、旅先で台風やゲリラ豪雨に遭遇することもあります。そうした事態を避けるためにも、こまめに天気図を確認し、走行ルートや旅程を練らなければなりません。ときに、雨雲や低気圧の動きを読み解かなければならないこともあります。

【その3:自炊に不自由が生じる】

家暮らしに慣れていると、車での自炊には不自由さを感じます。狭いキッチンで調理をしなくてはならず、利用できる調理器具も限られています(荷物を少量に抑えている場合)。また、水の利用を最小限にとどめるために無水料理を心がけたりと、献立に工夫が必要な場合も。ちなみに、筆者のバンでは、電子レンジや炊飯器、冷蔵庫は使えません。

【その4:ごみに気を遣う】

ごみを大量に貯めておけない車内。そのため、ごみを削減する努力が求められます。近年、旅行者のごみ捨てのマナーが社会問題となるケースもあり、ごみを捨てる方法についても事前に検討する必要があります。

【その5:荷物に制限がある】

繰り返しになりますが、車内は荷物スペースが限られています。1〜2週間程度なら問題はありませんが、季節をまたいでバンライフをする場合、衣替え用の衣類が必要になることから、そのほかの荷量を減らすなどの調整が求められます。また、同じ季節でも、巡る旅先によっては(海側と山側では気温が全く異なります)は同様の対応が必要です。

【その6:文明の利器(電化製品)に頼れないことがある】

電気設備が整っていない車の場合、車内に冷蔵庫はおろか、走行中に充電できるのは100W以下(スマホと小型ノートパソコンが同時で充電できるくらい)の電化製品のみ…ということも。そのような環境下では、文明の利器(電化製品)に頼ることは、もちろんできません。

(※電気設備を整えているキャンピングカーなどの車両あれば、そのような問題はありません。)

【その7:体調管理が大変】

長時間の運転、旅先によって変わる気温や気候、車での睡眠不足など、バンライフで体調を崩す要因を考えれば切りがありません(筆者も実際に体調を崩しました…)。バンライフでは家暮らし以上に身体の声を注意深く聞き、体調管理に努める必要があります。

【その8:どこにいっても“よそ者”】

慣れ親しんだ土地で暮らしていれば、顔なじみも増え、心の故郷ができるというもの。しかし、旅をして暮らす移動型バンライフでは、どこの土地に行っても当然ながら “よそ者”です。センチメンタルなときは、それが寂しく感じることもあるのです。

【その9(おまけ):夫婦の距離が近すぎる】

「旦那さん(奥さん)とずっと一緒にいて、息苦しくなりません?」これは筆者がよく尋ねられる質問の一つです。例えば、一台の車でパートナーと過ごすこと24時間×7日間。あなたはどうでしょうか?筆者もパートナーもまったく息苦しさを感じないと言えば嘘になるでしょう・・・。ちなみに、喧嘩をしても逃げ場はありませんよ(笑)

デメリットだらけというバンライフの魅力

一見、デメリットだらけのバンライフ。魅力を探るどころか、魅力を見失いそうになります。

しかし、デメリットは必ずしもマイナスではないはず。そこに何らかの“学び”あれば、その経験は人生に成長をもたらすメリットになります。“デメリットからの学び”という過程を通して、新しい視点に立たせてくれる。それがバンライフ魅力だと筆者は感じます。

長所も短所も超えて、人々を惹きつけるバンライフの奥深さ。それを余すところなく筆者が語れる日は、まだ先のようです。

[All Photo by YONEVANLIFE]

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