「東京五輪をイメージして演武した」空手の絶対王者、止まらない進化

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男子個人形決勝、迫真の「オーハン大」を演武し、優勝した喜友名諒=日本武道館(小笠原大介東京通信員撮影)

 絶対王者、圧巻の演武-。8日、日本武道館であった空手のプレミアリーグ東京大会で、男子形は世界選手権3連覇中の喜友名諒(きゆな・りょう=劉衛流龍鳳会)が「オーハン大」で新馬場一世(西濃運輸)に大差をつけて優勝した。今季同リーグ5連勝を飾り、来夏の東京五輪の会場となる日本武道館で、圧倒的な存在感を示した。金城新は5位だった。

 男子団体形決勝は劉衛流(喜友名、上村拓也、金城)が制した。女子個人形は元世界女王の清水希容(ミキハウス)が優勝した。

 組手は男子84キロ級の荒賀龍太郎(荒賀道場)、75キロ級の西村拳(チャンプ)、67キロ級の五明宏人(ALSOK)、女子68キロ超級の植草歩(JAL)が頂点に立った。

◆舞踊取り入れ形に深み 大会最高得点マーク

 来夏の東京五輪の空手会場となる日本武道館で、喜友名諒が決勝の演目に選んだのは国内初披露となる劉衛流伝統の形「オーハン大」。鬼気迫る演武で、30点満点で今大会最高となる28.38点のハイスコアをたたき出し、世界王者の実力をまざまざと見せつけた。「五輪本番をイメージしながら、落ち着いて楽しむことができた」と納得の表情だった。

 師の佐久本嗣男会長は「予定通りの出来。演武台の反発力への対応が鍵だったが、下肢の強さを生かしてうまく抑えていた」とうなずいた。

 世界選手権3連覇中で、世界ランキング1位に君臨する喜友名にとって、ライバルは己自身だ。日々の鍛錬の中でいかに形の完成度を高めるか。今大会前には練習の一環として、南風原高校郷土芸能部の生徒らから太鼓や庶民の舞踊、雑踊りを学んだ。「太鼓からは緩急の表現力、踊りからは目線や腰の使い方が参考になった」と、形に深みを与える材料にして取り入れた。

 佐久本会長に「守礼の国の心である空手を通して何ができるか」と常日頃から問い掛けられている。空手発祥の地のプライドを胸に、妥協せず己と向き合い続けてきた日々が現在の演武をつくり上げた。

 形の日本代表は来年4月、世界空手連盟(WKF)が定めるオリンピック・スタンディングで決まる。現在トップを独走する喜友名だが、「技の抜き差しや表現力も研究していけば、まだまだ伸びる」とさらに気持ちを引き締めた。

 東京五輪開幕まで残り10カ月。絶対王者に慢心はない。(小笠原大介東京通信員)