『起死回生の快進撃!!』第2戦でまたしてもシングルフィニッシュ!伊藤巧のB.A.S.S.セントラルオープン参戦の軌跡を振り返る!#2ルイス・スミスレイク

2019年より戦いの舞台をアメリカに移し、B.A.S.S.セントラルオープンに参戦中の人気若手バスアングラー「伊藤巧」。現在3戦を終え、年間暫定順位4位とトップカテゴリー・B.A.S.S.エリートシリーズ昇格圏内にいる。そして9/12からは最終グランドレイク戦がスタート!そんな伊藤巧のこれまでのアメリカでの3戦をプレイバック!第2回はアラバマ州・ルイススミスレイク戦を振り返る。

H-1GPX、TBC、陸王、艇王と国内の試合で破竹の快進撃を続ける若きロードランナー

伊藤巧(いとう・たくみ)さん

幼少期より、アメリカでのトーナメント活動を夢見た若きロードランナー。2019年からB.A.S.S.セントラルオープンへの参戦を表明。国内では陸王&艇王二連覇を成し遂げるなど、前代未聞の爪痕を残してきた彼の活躍に期待が高まる。

快挙、再び! またもシングルにランクイン!

4月25日~27日、アメリカ・アラバマ州のレイク・ルイス・スミスで開催されたB.A.S.S.セントラルオープン第2戦。初戦の準優勝に続き、多くの期待を寄せられていた伊藤巧さんがまたしても8位シングル入賞という快挙を成し遂げた! 

帰国した伊藤さんに話を伺うと、開口一番に放った言葉が印象的だった。

伊藤さん「亀山湖だと思って釣りをしたら、結果が帰ってきた」。

その真意を明かしてもらった。

異なる状態の魚を筋で釣り分ける!

伊藤さん「プラクティスは10日間、季節的にはスポーン絡みの魚が多く、ラージがポスト、スポッツがプリという印象でした。スポッツのほうがスポーニングの進行が遅いというのも今回学びましたね」

伊藤さん「スミスレイクは大まかに3つの川筋によって形成されており、一番西側からスパイニークリーク、中央がロッククリーク、東側がライアンクリーク。スパイニークリークは3本のなかで一番冷たい水が注ぎこんでいるので季節の進行が若干遅く、プリのスポッツが狙える。ロックとライアンはポストからアフターの魚が多いという印象」

バンクから繋がるボートドックはプリ~アフターの魚がその周囲だけで過ごすことができる好スポット。初日後半はこの釣りでロスを取り返した。

伊藤さん「よって、プラクティス前半はプリやアフターのメスをフラチャット18グラムのスイミングで釣っていくパターンがメインだったのですが、プラ中盤に差し掛かるとスポーニングの進行が進み、魚の状態も変わって、その釣りが効かなくなっていきました」

伊藤さん「そのため、ライアン、ロッククリークの岩盤エリアを中心にカワシマイキーやボルケーノグリッパーでアフターの魚を獲る釣りへシフト」

水通しの良い岩盤エリア。伊藤さん「ポケットや崩落もあり、見た目的にも亀山湖。まぁ釣り方もそうでしたが(笑)」。
ボルケーノグリッパー+レディーバランス(ノリーズ)
カワシマイキー(ジャッカル)
プラクティスで釣ったナイススポッツ。ボルケーノグリッパーを高速引きし、岩盤のポケットや角で追い詰めるようにトレースすることがキモ。

伊藤さん「でもこれだけでは心もとないので、スポーニングの進行が遅いスパイニークリークで居残りのプリスポーンを獲る釣りをなんとか見つけました。それがロングリーダーのダウンショット。この釣りを見つけておけたことが起死回生の2日目に繋がりましたね」

ロングリーダーのダウンショット

クロステールシャッド4インチ(ジャッカル) 比重の低いハンドポワードのピンテール。素材ならではの質量感とフォールスピードで、食性の低い産卵直前の魚に口を使わせた。

5メートルレンジの3メートルに浮いている産卵直前のメスを釣るために伊藤さんが使用したのは1メートルのロングリーダーダウンショット。フォールでチェイスした魚が諦めないレンジでルアーをステイさせるためのリーダー長。

トラブルからの挽回!亀山湖で培った技が光る!

迎えた試合初日、ウエイトのある魚を獲るべくライアンクリークの最上流へ向かった伊藤さん。カワシマイキーで1尾釣り上げ、良いスタートを切るも、ボートトラブルにより走行不能に。完全に流れを断ち切られた。

伊藤さん「正直、ただ絶望してました…

本部と連絡を取り、ボートを陸送で会場へ運び、修理。リスタートするころには残りの試合時間はたったの4時間しかなかった。しかも、ルールによりライブウェルの魚はリリース。完全にゼロからのリスタートだった。伊藤さんはとにかくリミットを揃えることに最優先に、会場から最寄りであるロッククリークでドック撃ちに専念。何とかリミットメイクを果たすも初日は52位という結果で終わった。

破損したロワーユニット 走行中、金属疲労により折れたペラがロワーユニットに接触し、破損。完全に走行不能状態になった。カメラクルーのボートでマリーナまで曳航してもらい、会場で修理。修復作業はわずか20分だが、陸路などでロスしたトータルの時間は3時間。

朝から強い風が吹きつける2日目。伊藤さんはここが正念場だったと語った。

伊藤さん「初日は成績こそ微妙ですが、個人的にはナイスリカバリーでした。でも、2日目で良い位置に食い込まないと予選落ちもある。けど、この日は天気も味方していたので勝負に出ました」。

その勝負とは、気まぐれなプリスポーンの魚を獲る釣りである。季節の進行が遅いスパイニークリークへボートを走らせ、その狙いは的中!わずか2時間足らずで高いベースのリミットを揃えることに成功。その後はロッククリークでアフターの釣りに集中し、カワシマイキーで2キロアップを含む2本の入れ替えに成功。短日3位、総合5位という起死回生のスコアで予選を通過した

トップ12人による最終日。朝イチにフィーディングのプリを狙うも不発、その後アフターパターンに切り替えるも時合いが合わない…。行き詰ったライアンクリークで要所を流していくと、バックシーターがネコリグでノンキーを釣り上げる。

伊藤さん「僕のカワシマイキーには追わないけど、浅いレンジにはいた。『もうここは亀山湖』そう思い込ませ、テールカットしたスレンダーグラブのジグヘッドワッキーを投入したら、ものの30分でリミットメイクできたんです」。

 亀山湖で培った釣りを閃きで入れ込み、前半の不釣をリカバリー。その後は入れ替えは叶わなかったが、最終結果8位年間順位はなんと首位に!

伊藤さん「絶望からの起死回生でしたね。次戦はミシシッピリバー。僕の好きな『川』の釣りです。次も初戦のつもりで挑みます」。

 伊藤さんの眼差しはもう先を見ていた。

伊藤巧に関する記事はコチラ

© 株式会社 内外出版社