【愛川・受刑予定者逃走】初公判「包丁振り回していない」 被告、起訴内容を一部否認 

横浜地検を出る男=6月23日午後5時15分ごろ、横浜市中区

 愛川町で6月、保釈後に実刑判決が確定した男が刑務所への収容を拒んで逃走した事件で、公務執行妨害や犯人蔵匿教唆など四つの罪に問われた無職の男(43)=愛川町田代=の初公判が11日、横浜地裁(加藤学裁判長)であった。被告は「(収容の際に)包丁は振り回していない」と起訴内容の一部を否認した。

 検察側は冒頭陳述で、収容のため自宅を訪れた検察事務官らに対し、被告は「俺んちなんだから出て行け」などと激高し、台所から包丁を取り出して左右に数回振り回した、と指摘。逃走中は知人の男に「シャブ(覚醒剤)が抜けるまでかくまってほしい」などと依頼した、と述べた。

 弁護側は、被告は刃物を振り回していないと主張。「事務官らの供述に基づく報道で社会的に疎外された家族のためにも真実を明らかにしたい」と反論した。

 検察側は証拠調べで、「車で後から行くと言ったら『駄目です』と言われ、いらいらして包丁を持った」などとする被告の供述調書を明らかにした。

 起訴状などによると、被告は6月19日午後1時すぎ、収容のため愛川町の自宅を訪れた横浜地検職員2人に「ふざけんな、早く出て行け」などと怒鳴りつけて右手に持った包丁を振り回し、職務の執行を妨害。知人の建設業の男(39)=犯人蔵匿と覚せい剤取締法違反の罪で公判中=に依頼し、23日未明から早朝まで横須賀市森崎4丁目の建設業の男のアパートにかくまわせた、などとされる。

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