【MLB】前田健太の救援配置転換は「ボーナスを避けるため」 米メディアが懐疑の目

ドジャースの前田健太【写真:Getty Images】

「CBSスポーツ」は「この決断には疑わしい面もある」と指摘

 10日(日本時間11日)のオリオールズ戦で快勝し、7年連続の地区優勝を果たしたドジャース。9月に入りリリーフに配置転換された前田健太投手にはこの日出番はなかったものの、入団から4年連続となる地区優勝に試合後はシャンパンファイトでチームメートらと歓喜の瞬間を迎えた。

 今季、ここまで29試合に登板して9勝8敗1ホールド1セーブ、防御率3.87の成績を残している前田。開幕からローテに入り先発として回ってきていたが、8月28日(同29日)のパドレス戦を最後にリリーフに回ることになった。26度の先発マウンドに立った後の配置転換に、米メディアが「インセンティブを避けるためなのでは」と疑惑の声をあげている。

「ドジャースによるケンタ・マエダの扱いが契約のインセンティブの潜在的な利害の対立を示す理由」と報じたのは、米メディア「CBSスポーツ」電子版。記事では「ドジャースが前田をリリーフに配置転換したのは、今回が初めてではないが、この決断には疑わしい面もある」と、まず指摘している。

 2016年に広島からドジャースに移籍した前田。年俸300万ドル(約3億2100万円)、出来高が厚いという異例の8年契約を結んでいる。出来高は開幕ロースター入りで15万ドル(約1600万円)、先発15試合、20試合登板で100万ドル(約1億700万円)ずつの計200万ドル(約2億1400万円)を得る。

 さらに、イニング数に応じたボーナスもあり、90回から10イニングごとに25万ドル(約2642万円)ずつ加算される。そして、30先発登板、32先発登板で150万ドル(約1億6000万円)ずつ計300万ドル(約3億2000万円)という出来高が設定されている。

記事では30先発、32先発でクリアされる計約3億円の出来高を避けるためと指摘

 記事ではこの前田の契約を「マエダの契約は球界で最も好ましくないものの1つである。8年で保証されているのはたった2500万ドル(約26億7500万円)であり、可笑しいくらいインセンティブが大きい契約である」と指摘し、その契約形態から「マエダの契約は投球回と先発登板数がもととなり、先発としてが一番インセンティブを得られる」としている。

「CBSスポーツ」では、今季のここまでの前田の成績から「先発のままなら、30先発以上、170回程となっていただろう。つまり、マエダは更に200万ドル(約2億1400万円)を手にしていたことになる」と予想し「代わりに、ドジャースはまたマエダをブルペンに配置転換した」と、3年連続でのシーズン終盤での救援への配置転換に疑問を呈した。

 ウリアスがブルペンに戻るまでの穴埋め、そしてポストシーズンでのリリーフ起用への準備とされているが、記事では「ウリアスは2度の先発登板後すでにブルペンに戻っているし、前田のロングリリーフも10月に求められている役割ではなく、そのどちらも説明になっていない」と言及。そして「ドジャースがマエダを9月にロングリリーフとして起用するのであれば、30先発登板によるボーナスを支払うのを避ける以外、ローテーションから外す理由は何だろうか?」と、インセンティブが厚い契約が原因ではないか、としている。

 記事では「もちろん、これらは全て偶然かもしれない」として、前田の契約が原因ではない可能性も、もちろん認めている。とはいえ、このあまりフェアとは言い難い契約の形が、こういった疑惑の目を向けられる要因であることは間違いないようだ。(Full-Count編集部)

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