従業員確保 目標の半分 14日増床のイオンモール高岡 他店からスタッフ応援

和洋中の13の飲食店が並ぶフードコート=イオンモール高岡

 イオンモール高岡(高岡市下伏間江)の増床リニューアルに向けた従業員確保が、目標の約800人の半分程度にとどまっていることが10日、関係者への取材で分かった。14日のオープンが迫り、多くの店舗は本部や他店からスタッフの応援を受けたり、人材派遣会社を利用したりして当面の繁忙期を乗り切る構え。高岡の販売職の求人倍率は8倍超とかつてないほど上昇しており、人材獲得競争はオープン後も続きそうだ。

 「無事にオープンできそうだが、スタッフは十分ではない。本部などからの応援で乗り切ることになる」。10日に開かれた西館(増床棟)の内覧会で、イオンモール高岡の菅尾圭二郎ゼネラルマネジャーは、従業員確保の現状をそう説明した。既存棟の約1800人から2600人に増やす予定だったが、届かないという。

 特に深刻なのがアパレル業界だ。西館には若い女性向けの衣料品を扱う店が10店舗以上入り、ターゲットとする客層に近い女性スタッフを求めている。しかし、年齢条件がネックとなり、応募は伸び悩んでいる。オープンまでの確保を諦め、年末商戦までの充足を目標にする店が多いという。

 和洋中の13の飲食店が並ぶフードコートでも、人手は不足している。ステーキの「いきなり!ステーキ」や焼き肉丼の「肉のヤマキ商店」は、時給を1500円以上に引き上げた。ヤマキ商店を展開するトリドールは「全国でも最高水準」(採用担当)と言う。飲食店の時給で、高岡が東京の銀座や六本木を上回る異常事態になっている。

 10月から引き上げられる富山県の最低賃金848円の2倍近い時給を設定する大手に対し、地元の飲食店からは「追随したら経営が立ち行かなくなる」と懸念する声が聞かれる。

 高岡、射水両市をエリアとするハローワーク高岡によると、7月の商品販売職の求人倍率は8.22倍に達している。オープンに対する消費者の期待が高まる一方で、運営側にとっては悩ましい状況が続きそうだ。(西部本社・浜田泰輔)

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