【台風15号】横浜港コンテナ大動脈の橋損傷 南本牧、貨物船接触か

激しく損壊した「南本牧はま道路」=12日午前9時半ごろ、横浜市中区の南本牧ふ頭

 9日未明に東京湾を縦断した台風15号の影響で、横浜港の主要な交通網が寸断し、コンテナ物流への影響が懸念されている。世界最大級のコンテナ船が着岸し、港内で扱うコンテナ貨物の4割を占める南本牧ふ頭(横浜市中区)では首都高速道路に唯一直結する橋が損傷、通行止めになった。再開の見通しは立っていないが、コンテナ車が往来する“物流の大動脈”だけに日本経済全体に響きかねず、政府は早期復旧を図る。

 国土交通省関東地方整備局によると、首都高湾岸線に接続する臨港道路「南本牧はま道路」で橋となっている海上部分(長さ約610メートル)のうち、計約130メートルが損壊。欄干に穴が開いたり橋桁がめくれ上がったりした。街路灯がなぎ倒され、貨物船のクレーンなどの部品が散乱している。

 第3管区海上保安本部(横浜)は、港内で停泊していたパナマ船籍の貨物船(6736トン)が強風でいかりが効かず流され、9日未明に同道路に接触したとみて捜査に着手。運輸安全委員会は船舶事故調査官4人を現地に派遣した。貨物船は現在、港内に係留中で、右舷側の船尾を中心に激しく損傷している。

 同道路を管理する市は「再開のめどが立たない」として、同道路につながる首都高湾岸線の南本牧ふ頭出入口を閉鎖。同ふ頭へは南本牧大橋の通行を促しているが、首都高や東名高速道路を利用するには一般道路を通らざるを得ず、積み荷の搬出入が集中する時間帯は既に周辺で渋滞が発生している。

 南本牧ふ頭は、世界最大級となる2万個(20フィートコンテナ換算)クラスのコンテナ船を含む欧州定期航路を国内で唯一受け入れている。コンテナの取扱個数は18年実績で、横浜港全体の約304万個のうち4割の約122万個に上る。19年度末には、ふ頭内で4カ所目となるターミナル「MC-4」が完成する予定だ。

 同道路は17年3月、増大するコンテナ取扱量やコンテナ船の大型化に対応するために開通。「MC-4」の稼働を見据えていただけに、国交省のある担当者は「通行止めが長引けば物流網が滞る恐れがあり、日本経済に悪影響を及ぼしかねない」と懸念する。同省は有識者を交えた技術検討委員会を近く発足、過去の事例などを参考に早期の再開に向け取り組む。

 18年の台風21号の影響でタンカー船が衝突して損傷した関西国際空港連絡橋は完全復旧に約7カ月かかった。同省内でも「MC-4」の完成時期に間に合うかが一つの鍵になるとの声が上がる。

 12日午前には赤羽一嘉国交相が視察。取材に対し「首都圏だけではなく、我が国全体の物流にも関わる大変重要な施設」との認識を示した上で「想像以上にダメージが大きい。できる限り速やかに復旧を目指す」と述べた。

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