増税駆け込み需要今ひとつ 長崎県内 家電などは前年比増も…

消費税増税前に駆け込み購入を促すカウントダウンボード=長崎市、エディオン長崎本店

 10月1日の消費税増税まで3週間を切った。長崎市内では、家電など一部の耐久消費財で駆け込み需要が出始めている。だが前回増税時ほどのインパクトや広がりはみられない。
 「増税までのこり○日」「選ぶなら今!」-。浜町のエディオン長崎本店にはカウントダウンが表示されている。そんなうたい文句も手伝ってか、9月に入り、テレビやエアコン、冷蔵庫などが好調で、前年同期の倍近い売れ行き。担当者は「月末にかけてさらに盛り上がり、てんてこ舞いになりそう」と皮算用をする。
 近くの浜屋百貨店は、スーツケースの売り上げが前年比5割増に。紳士用オーダースーツなど高額帯の伸びが目立つ。浜屋や隣接する複合商業施設ハマクロス411は、コートやダウンなど秋冬物衣料を例年より早めに陳列し、気温が下がるのを待つ。
 ただ、多くの業界で、前回増税時と比べ売り上げアップの幅は小さい、との声が聞かれる。ハマクロスは前年比1割増を見込んだが、今のところ前年並み。馬場家具(葉山1丁目)は「前回の増税は新生活が始まる4月。今回の倍の勢いだった」と振り返る。さんち家具(元船町)は目標3割増が前年並みにとどまり、2週連続の3連休に望みをつなぐ。
 日銀長崎支店は、自動車税の減税や住宅ローンの控除期間延長といった増税後の景気冷え込みに対する政策が一定機能しているとみる。車も住宅も条件によっては消費税増税後に購入した方が得になるケースもあり、トヨタカローラ長崎やダイハツ長崎販売は「前回ほどの反応はない」と口をそろえる。マンション分譲の東栄不動産は「前回のように購入を急ぐお客さまはいなかった。増税後に消費が低迷する余波もなければいいが…」とその後を気に掛ける。
 低価格帯はどうか。ゆめタウン夢彩都(元船町)は「おむつや化粧品は買いだめする動きがあるようだが、全体的に鈍い」。市中心部のたばこ販売店主は「箱買いする客は前回より少ない」と話す。
 今回は飲食料品に軽減税率が導入され、キャッシュレス決済時のポイント還元もある。化粧品をまとめ買いした主婦(50)はこれらを理由に「化粧品以外は慌てていない。今買えば得か、増税後が得かを見極めている」。男性客(72)は「増税幅が2%と小さいから気にしていない」と話した。

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