県内小売業 休業見直し加速

定休日を導入したサンエツ富山南店=富山市赤田

■従業員の満足度向上

 県内の小売業界で元日休業の導入を決めたり、定休日を新設したりする動きが広がっている。土日曜日も業務がある職場だが、働き改革の一環で休日取得をしやすくし、従業員の満足度を高めるのが狙いだ。人手不足が深刻化する中、人材の確保や定着につなげる。(経済部・熊谷浩二)

 富山ターミナルビル(富山市桜町)は運営する富山駅前の商業施設「マリエとやま」と「きときと市場とやマルシェ」について、来年1月1日の営業を取りやめる。従業員の満足度向上を目的にした初めての試みで、水田整社長は「元日に家族や友人と過ごしてもらうことで、スタッフのモチベーションを高めたい」と話す。

 商業施設にとって初売りとなる元日はかき入れ時。一方、アルバイトを中心に多くの従業員が休暇に入ることで人員確保に苦労する。各テナントの店長クラスが連日勤務するケースが目立ち、負担感の解消が課題だった。

 今年2月にとやマルシェで実施した時短営業も拡大する。開始日を半月前倒しし、来年1月14日から2月末まで物販店の閉店時間を30分早める。光熱費や経費の削減にもつながるという。

 富山市内のカー用品店は休日取得率を高めるため、5月から休業日を増やした。月の半ばに休業日を1日追加し、週1回の定休日と組み合わせて2連休とした。同店担当者は「SNS(会員制交流サイト)で定休日の変更を案内したら、『いいね』が付いた。好意的に受け止めてくれるお客さんが多い」と話した。

 創業以来続いた年中無休の営業スタイルを見直したのは県内で3店舗を展開するギフト販売のサンエツ(富山市新屋)。中元・歳暮シーズンを除き、富山南店(同市赤田)と小杉店(射水市三ケ・小杉)で昨年4月から水曜定休を導入した。人手不足に伴い、勤務ダイヤを組みづらくなってきたことが理由だ。

 本店(富山市新屋)は引き続き年中無休だが、定休日を導入した2店から定期的にスタッフの応援を受けることで、以前より休みを取得しやすくなったという。板川信夫社長は「働き続けやすい職場づくりに力を入れ、会社の柱となる社員を育てていきたい」と話した。

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