消費増税迫る

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 5年前の作品だが、いま読み返してもどことなくおかしい。〈除夜の鐘 税込み価格で108つ〉。サラリーマン川柳の入選作にある。消費税率が8%に引き上げられた年の末、数字は何でも「税込み価格」で見てしまう、と▲除夜の鐘の数も例外でない、というのは大げさだが、それから5年、税込み価格がまた気になる時期になった。10月からの消費税増税では、飲食料品に「軽減税率」が当てはめられ、10%と8%と、二つの税率が入り交じる▲例えば外食だと、店内での飲食であれば税率10%で、持ち帰りや宅配だと8%になる。事細かいが、どこもそうだとは限らない。日本マクドナルドは先ごろ、「店内飲食」と「持ち帰り」の価格を同じにすると発表した▲二つの価格を別にするところも当然ある。消費者はのみ込むのに時間がかかるだろう。税率を気にしてメニューに見入り、レシートに見入る姿が、街の風景の一つになるかもしれない▲店舗の側も、二つの税率に対応するレジを置いたり、増税に合わせてキャッシュレス決済を始めたりと、準備はさまざまあるのだが、どうやら出遅れも目立つという▲すんなりなじめる増税があるはずはないが、消費者にも店の側にも、とりわけなじみづらい消費税増税が迫る。この秋、「税込みいくら」がややこしい。(徹)