社説:ボルトン氏解任 非核化に影響しないか

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 現米政権で、外交・安全保障政策の「司令塔」が退場するのは、もう3回目だ。国際情勢の先行きが不安になる。

 トランプ大統領が、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任した。

 このポストは、大統領に対して外交や防衛に関する適切な方向性を示すのが任務である。ところがトランプ氏は、「彼の多くの助言に同意できなかった」とする。

 トップと、ことごとく意見が異なっていては、解任に至るのも当然である。

 国連大使などを務めたボルトン氏は、イラク戦争を決断したブッシュ政権に、大きな影響を及ぼした強硬派の代表格という。

 昨年4月の大統領補佐官就任以来、北朝鮮やイラン、ベネズエラなどに対する高圧的な政策を、けん引してきた。

 「米国第一」を掲げ、超大国の復権を果たしたいトランプ氏と、当初は共鳴する部分が多かったようだ。

 アフガニスタンの反政府武装組織タリバンと和平協議を行い、駐留米軍の一部を撤退させることなどに強く反対したのが、解任の理由だとされる。

 トランプ氏は、出費のかさむ外国への関与を縮小したいとの意向を、度々表明している。

 今後、ボルトン氏のように圧力を重視する外交姿勢は、米政権内で後退していく可能性が高いといえる。

 イランと、核合意を離脱した米国との間で緊張が高まっている。しかし、対話路線が明確なものになれば、緊張緩和に向けた両国の首脳会談が、意外に早く実現するかもしれない。

 イランと友好的な関係にあり、対立を深める米国との間で板挟みとなっている日本にとっても、事態は望ましい方向に進むことになるだろう。

 一方で、米国の対北朝鮮政策がさらに融和的になれば、北朝鮮が求める段階的な非核化を認めてしまう恐れがある。ミサイル開発は続けられ、完全な非核化は達成できないのではないか。

 来年11月の米大統領選で再選を目指すトランプ氏が、外交分野でも「取引」によって短期的な成果を求めているのは明らかだ。

 思い付きや個人的な関係に基づく場当たり的な政策ばかりしていては、日本など同盟国に不利な状況を招きかねない。懸念が現実のものとならないよう、注視していくことが必要だ。