21歳、田中碧 武者修行経てたくましく 川崎F

川崎フロンターレMF田中碧

 サッカーJ1川崎フロンターレのMF田中碧(21)がU-22日本代表の北中米遠征から11日に帰国し、休養を挟まず連日汗を流している。長距離移動など不慣れな環境の中で日の丸を背負って戦った地元・川崎市出身のホープは、「今はとにかく時差ボケがきつい。苦しい中で貴重な経験ができました」とたくましさを増した様子だった。

 1週間の武者修行は、移動と実戦の繰り返しだった。首都メキシコ市に降り立ち、まずは約3時間バスに揺られて練習拠点へ。2日後に現地クラブとのトレーニングマッチをこなすと、中1日でU-22メキシコ代表と対戦。さらには米・カリフォルニア州まで約10時間の移動を挟み、中2日で同世代の米国代表と相まみえた。

 特にメキシコでは「アウェーの洗礼」にさらされたという。標高2千メートルほどの高地で、グラウンド状況も万全ではなく、現地の食事も口に合わず。宿舎の食事会場には肉料理や魚料理、パスタにライスなどのメニューが並びはしたが、独特な調理法に「おなかいっぱいまでは食べられなかった。白米も日本で食べているものと違う。3時間おきに腹が減って…」。試合前は白飯にお茶を浸してお茶漬けにし、胃袋に流し込んで腹を満たした。安全上の理由で外出も認められず「外でリフレッシュとか外食もできなくて、すごくきつかった」と顔をゆがめた。

 「サッカーの内容より、A代表とか世界で戦うチームのタフさを感じた。改めてすごいなと。アウェーで勝ちきるのは簡単なことじゃない」。過酷な状況下で2試合、45分ずつ出場。3-5-2のフォーメーションでボランチを担い「相手がそこまで強い、速いとは感じなかった。普段やっていることを出せた」と自信を口にした。

 遠征は1分け1敗。「結果的に勝てていない。勝つか負けるかは、国際舞台では大事になる」と悔しさをにじませ、「ボランチとしてゴールにつながるプレーを増やすことの大切さを改めて味わった。そのクオリティーを上げないといけないし、それはフロンターレでも変わらない」。残り9試合のリーグ戦で首位FC東京との勝ち点差は11。逆転の3連覇へ窮地に立たされているクラブを救えるか。

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