ハーブ特産品化 希少種活用 新たな収入に

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和ハッカの苗を植え付けていく山口さん夫妻=佐世保市俵ケ浦町

 長崎県佐世保市の俵ケ浦半島で、ハーブを新たな特産品として売り出すプロジェクトが進んでいる。住民の野菜作りのノウハウを生かして付加価値の高い植物を栽培し、新たな収入源をつくる狙い。全国でも生産地が少ない和ハッカを中心に手掛け、まずは計画に協力する県外のカフェに卸すことを目指している。
 8月中旬の夕方。西日が照らす畑の一角で、黄緑色の葉を伸ばした和ハッカの苗が一つ一つ植えられていった。汗をにじませ黙々と作業に取り組むのは、地元の専業農家、山口昭正さん(40)と郁(かおる)さん(40)夫妻。本業の合間の作業だが「半島の宣伝になれば、という思い」とほほ笑んだ。
 俵ケ浦半島では昔から「半農半漁」の暮らしが根付いていた。各家庭で農作物を育て、余った分を地元の直売所に持ち込む人は多かった。しかし高齢化が進み、キャベツや芋類など重量がある野菜の収穫と搬入は困難になっていた。
 今年に入り、地元の生産者が集まり、意見交換会を開いた。重作業がいらず単価が高い農産物として、ハーブ栽培をすることに。特に在来種の和ハッカは特有の香りがあり、生産地も北海道などに限られる希少な種。女性を中心に十数人がプロジェクトに参加し、福岡県でハーブティーを提供するカフェの経営者から指導を受けた。
 ハーブの活用法を学んだ後、各家庭の畑などに苗を植えた。だが、苗に交雑が起きていたことが分かり、8月に再度植え付け。農薬を使わないことや肥料の量など、家庭向けの野菜作りとは違い、細かな配慮やルールも多い。「思ったよりも大変だが、頑張って育てることで加わる人を増やさなければ成功しない」とメンバーの吉村恵子さん(67)は前を見据える。
 「1次産業が続けられなくなれば地域の風景も荒れてしまう」。地元の町づくり団体「チーム俵」の富田柚香子事務局長は、海と山が織りなす半島ならではの景観保護にもつながると強調する。
 収穫は秋ごろの予定。当面は指導を仰いでいるカフェに卸すことを目指し、生産体制を整える。将来的には独自ブランドを設け、販路もつくりたい考え。富田事務局長は「楽しみながら次につながる取り組みにしたい」と話した。