本サイトが報じたタイの違法民泊騒動 ついにタイ政府機関が汚職取り締まり捜査に動いた 渡航時は注意を!

日本人に人気の観光地のタイのパタヤ。そのパタヤの以下のコンドミニアム(マンション)で営業している違法ホテルの被害について、先日もTABLOで報じた。

この闇ホテルには本サイト副編集長も被害にあっている。前回記事で伝えた通り、このコンドミニアムはタイの不動産会社の「レイモンランド」という会社が開発した物件だ。同社は2016年夏に日系の不動産会社に物件の開発協力を依頼。その際の条件として、レイモンランド社経営陣が同物件の入り口のセールスオフィス等の最優先利用権を約して、開発や投資を協力させてきた。

日系の不動産会社はこれに応じて協力を行ってきたが、2018年夏に突如としてレイモンランド社が約束を反故にし、その最優先利用権を約した場所にオープンさせたのが、この闇ホテルを行うEzi Trip Stayという会社の違法賃貸業オフィスだったのだ。

この違法賃貸業は住民たちの苦情を受け、今年の2月に当局の摘発を受けて逮捕された。

ところが、当局の摘発をされた後も違法賃貸業を再開。さらにレイモンランド社が当初から設立した管理会社のセキュリティーのスタッフなどが協力し、違法賃貸のチェックイン・アウトまで手伝い、規模を拡大して実施されている。

周囲にはレイモンランド社の社員を名乗るタイ人から「イージートリップ社が逮捕された事を言うな、警察はどうとでも出来るんだ」と脅迫する電話がかかってくる脅迫事件も発生。これも警察に通報されるに至っている。

そして出てきたのが、贈収賄疑惑事件だった。

支払った管理費がこのような違法賃貸に使われている住民たちが集まり、タイのチョンブリ県バンラムン区という地元のホテルライセンス取り締まり部門に当局に苦情を出したところ、当局が「違法行為は発見できなかった。住民たちで話し合いをしてください」とする書面まで出してきたのだ。

しかし実際には、このイージートリップ社の違法短期賃貸は、以下のブッキングドットコムのサイトでも簡単に予約できるものだ。

名前はしょっちゅう変えているが、URLにはEZ stayと書かれているのは、このイージートリップ社が経営する違法営業ホテルだからだ。

https://www.booking.com/hotel/th/unixx-south-pattaya-by-ez-stay.ja.html
または、
https://megalodon.jp/2019-0902-1909-48/https://www.booking.com:443/hotel/th/unixx-south-pattaya-by-ez-stay.ja.html

もちろんタイの現地当局には住民たちから上記のURLも提出されているが、当局はこのURLで予約できる闇ホテルを発見できないそうだ。

このような違法短期賃貸の募集を行うウェブサイトが、ブッキングドットコムにも堂々と掲載されている現実に、タイの腐敗の蔓延の酷さが表れている。

これが、前回記事で報じた概要だ。

本件を、タイの汚職防止機関が捜査へ

本件の酷い贈収賄疑惑事件を受けて、タイ政府の汚職防止機関が捜査をすることがわかった。

タイ政府は現在、プラユット首相が汚職問題の解決に向けての取り組みをしており汚職取り締まり機関が設立されている。

そして本件の事件について捜査に乗り出すのは、PACC(タイ公立汚職防止センター)というプラユット首相が直轄する汚職取り締まり機関だ。

今回、捜査に乗り出したPACCはコメントで、

「PACCでは、汚職問題の摘発に尽力していますので、日本の企業、個人の皆様も、問題があればPACCに是非御相談下さい」

とコメントしている。

汚職問題が蔓延しると本事件のように、タイに外国人の法人、個人が投資をしても、その権利がまともに守られる事はなくなってしまう。タイ政府の汚職取り締まりの努力により、汚職問題の解決が期待される。

尚、今月の事件の主因であるタイのレイモンランド社は現在、日本の大手デベロッパーである東京建物(東証一部上場、代表取締役野村均取締役)との共同事業でバンコクに「Tait12」「THE ESTELLE」の2物件を発表、現在は東京建物の名前を使って大々的に宣伝、販売を行っている。東京建物と言えば、一般の人にも「Brillia(ブリリア)」というマンションブランドなどが有名な大手デベロッパーだ。

バンコクの共同事業の物件でも、東京建物の物件だからという事で安心して買っている人も多いだろう。しかし、レイモンランド社がUnixxでこのような事件を起こしている中で、この東京建物の名前が付いたレイモンランド社の物件を買った人は、Unixxと同様の状況となってしまうのではないだろうか。

このように、多くの日本の企業や個人が被害に巻き込まれかねない問題となっているのだ。タイ政府の汚職取り締まり機関が捜査に乗り出す事がわかった本事件。タイ政府による、この事件の全容の解明が期待されている。(取材・文◎西山哲治)

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