今後の展望 「開門派」他の訴訟を突破口に 「国」和解協議の機会模索

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 国が勝訴した二審判決を破棄し、福岡高裁に審理を差し戻した13日の上告審判決は、双方に和解を促す意味が大きい。しかし、国が今後、「開門せずに100億円の漁業振興基金による和解」を提案しても、漁業者側弁護団は拒否する方針。「開門」「非開門」のねじれ状態の中、漁業者側弁護団は長崎地裁で続く漁業者、農業者双方の開門請求訴訟を“新たな突破口”に位置付けている。
 二審判決は「2013年8月末の共同漁業権消滅に伴う開門請求権の消滅」を理由に、10年の開門確定判決の執行力を排除。一方で、開門対策工事の不可能論や漁獲量増加など国が主張する事情変更は「判断するに当たらない」と退けた。
 差し戻し審では、共同漁業権を除く事情変更が再び審理される。国は和解協議の機会を模索する方向だが、「開門」を巡る入り口論議で再び頓挫する恐れがあり、堤防閉め切りと漁業不振の因果関係など本質的な審理に入れるか不透明だ。
 開門、開門差し止め両派による訴訟は一時、7件に上ったが、現在、長崎地裁での開門請求が3件。諫早市小長井町や雲仙市瑞穗、国見両町の漁業者による即時開門訴訟は24日、結審する見通しだが、別の漁業者の訴訟が同日から始まる。
 さらに、干拓農地の営農2法人による開門と野鳥食害の損害賠償請求訴訟に加え、元営農者2人が近く、農地の整備不良で営農が破綻したとして、損害賠償請求訴訟を提起する予定。漁業者側弁護団は「営農開始から12年で13社が撤退したのは問題。農業も漁業も成り立つ全体的な和解が今こそ求められる」と主張。司法での争いが収まる気配はない。