「迷宮」出口どこに 営農者ら落胆と疲労

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最高裁判決を受け、報道陣の質問に答える中村知事=県庁

 高裁判決を破棄し、審理を差し戻した最高裁判決に開門に反対する県内の営農者らからは落胆の声が聞かれ、長期化する訴訟へ疲労の色をにじませた。「決着すると思っていたのに、まだまだ訴訟は続くのか」。諫早市の中央干拓地で農作業をしていた平成諫早湾干拓土地改良区の山開博俊理事長(71)は失望を隠せない。「非常に残念で憤っている。開門すれば調整池の水が使えなくなり、塩害も出るので農業はできなくなる。差し戻し審で国に頑張ってもらうしかない」とため息をついた。
 「開門」「非開門」の司法判断のねじれ状態が解消されることを期待していたのは諫早市自治会連合会の古賀文朗会長(79)も同じだ。低地で暮らし、干拓事業で大雨による浸水被害から解放されたと感じている。「開門されたら命に関わる問題になる。早く終わってほしい」と訴訟の長期化を嘆き、「法理論の迷宮に入っているようだ。住民を引っ張り込んでいいのか」と疑問を投げかけた。
 県議会一般質問を終え、県庁で報道陣の取材に応じた中村法道知事も「いろいろな選択肢があるとは考えていたが、本当に高裁判決が差し戻しされるとは正直驚いている」。諫早市の宮本明雄市長はコメントで6月に別訴訟で最高裁が「開門を認めない」判断を下したことを踏まえ、「開門が認められないことに変わりはないと考えており、今後とも訴訟の動向を注視する」とした。
 一方、開門差し止め派弁護団は「差し戻し審において請求異議の認容判決を得るべく、(国に対し)より一層努力されることを要請する」などとするコメントを出した。