諫干 審理差し戻し 双方が歩み寄れる道を

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 開門確定判決を事実上「無効」とした二審福岡高裁判決を破棄、高裁に差し戻した13日の最高裁判決は、二審判決の根拠だった「共同漁業権10年消滅論」を否定、開門確定判決の効力を認めた。確定判決がその後の訴訟を拘束するという既判力に基づいた常識的な判断だ。
 請求異議は不当な強制執行を防ぐ目的で、確定判決後に新たに生じた事情を理由に判決の変更が認められる制度。通常、金銭弁済などに用いられる。
 「共同漁業権が10年で消滅し、引き続き付与された漁業権とは別物」と事情変更を主張し、開門義務を守らない国の“ごね得”を仮に許していたら、司法の法的安定性を欠く事態に陥った。最高裁は引き続き付与される共同漁業権との「同一性」を認め、漁業の実態に理解を示した。
 一方で、開門確定判決を「暫定的な特殊な性格」と位置付けた上で、諫早湾周辺の環境変化や複数の「非開門」の司法判断などを考慮。開門強制が権利の乱用になる可能性を示唆しながら、「非開門での和解」を促しているとも取れる。
 国は13日の会見で「開門によらない100億円基金での和解を目指す」と繰り返し強調。だが、漁業者側弁護団は国の和解方針を拒否する姿勢を強めており、差し戻し審も曲折が予想される。国の「非開門方針」から2年半近く、和解協議が進展する気配すらない。差し戻し審では従来の方針に固執せず、双方が歩み寄れる道を探さなければ同じ轍(てつ)を踏むことになる。