「仕事してるなあって感じ」…西武國場が初勝利、同期が先に活躍も「自分は自分」

プロ初勝利を挙げ辻監督と記念撮影に臨んだ西武・國場翼【写真:荒川祐史】

延長10回の1イニングを3者凡退、お立ち台で「最高です」

■西武 4-3 ロッテ(14日・メットライフ)

 西武の4年目・國場翼投手が14日のロッテ戦(メットライフ)で延長10回に5番手として登板し、1イニングを3人で抑えてプロ初勝利を挙げた。

 前日13日の試合で、ロッテ3番・中村奨にバックスクリーンへ本塁打を浴びていた國場。この日は延長10回にマウンドに上がると、中村奨から始まるロッテのクリーンアップと対峙した。

「(打球が)よく飛びましたね。逆に切り替えられました」と悪いイメージはすぐに払拭していた。中村奨、清田を遊ゴロに仕留めテンポよく2死を奪うと、角中に対しては直球で空振り三振を奪い、前夜のリベンジを完璧な形で果たした。直後の10回裏、メヒアのサヨナラ適時打が飛び出し、國場にプロ初白星が転がり込んだ。初めてのお立ち台に上がった國場は「絶対に抑えるという気持ちで投げました。最高です」と白い歯をこぼした。

 すでに他界している父親が草野球チームに所属していたことがきっかけで、3歳のときにはすでにボールを触っていた。中学では小柄だったことから軟式チームで二塁手を務めていたが、高校進学後に身長が約20センチ伸びたことと、1年生のみで臨む大会で投手が不足していたことから投手に転向。進学した第一工業大学から2016年にドラフト8位で西武に入団したが、1軍での登板はルーキーイヤーの2試合のみにとどまっていた。

東浜から伝授されたカットボールで飛躍、次の目標は同郷の山川と「一緒にお立ち台」

 プロ4年目を迎えるにあたり、同郷・うるま市出身の東浜(ソフトバンク)に志願し弟子入り。1月の自主トレで東浜から直球のような軌道から小さく曲がるカットボールを伝授されたことで、課題だった制球面を克服し、与四球が激減。8月中旬に1軍の切符をつかむと、21日にはプロ初ホールドを記録。僅差の展開でも起用されるようになり、この日のプロ初勝利に繋がった。試合が終わると、スマートフォンには東浜から「初勝利おめでとう。第一歩やね」と祝福のメッセージが届いていた。國場は「家に帰ってからゆっくり返したいと思います」と嬉しそうに画面を見つめた。

 同期で入団した多和田が18年に最多勝に輝き、同じく同期で同級生の本田は今季ここまで6勝を挙げるなど先発陣の一角を担ってきた。「同級生の活躍は嬉しいです。でも、自分は自分なので意識せずにやりたい」と折れずに取り組んできた。昨年チームは10年ぶりのリーグ優勝を果たしたが、國場の1軍出場はなし。「毎試合毎試合、悔しかった」と1軍の本拠地・メットライフドームに隣接する西武第二球場で汗を流し続けていた。それでも今季は激しい優勝争いの中に身を投じ、全力で腕を振り続ける日々を送る。「毎試合しびれますね。楽しいです。『ああ、仕事してるなあ』って感じです」と國場は端正な顔いっぱいに充実感をにじませた。

 この日は同じ沖縄県出身の主砲・山川が6回に42号ソロを放っており、國場は「山川さんは僕から見ていても“沖縄愛”が強い人。次は一緒にお立ち台に立てるように頑張ります」とはにかんだ。この日7回に登板し1イニングを無失点で抑えた平良も沖縄出身。現在不整脈で療養中の多和田も同郷だ。「まずは名前を覚えてもらいたいですね」と話した國場。沖縄出身の“うちなー魂”が、チームを大きく盛り上げていく。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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