「ジョン・シルバー」シリーズ3作上演 劇団「唐ゼミ☆」

「3作をきっちり見届けてもらえるとうれしい」と話す中野さん =横浜市西区

 横浜市保土ケ谷区を拠点に活動する劇団「唐ゼミ☆」が17~23日、横浜・みなとみらい21(MM21)地区の日本丸メモリアルパークで、劇作家唐十郎さん(79)原作の「ジョン・シルバー」シリーズ3部作を上演する。パーク内にテントを張った特設劇場で、孤独を抱えた登場人物の心模様を表現する。

 唐さんが20~30代の頃に手掛けた「ジョン・シルバー」「続ジョン・シルバー」「あれからのジョン・シルバー」は、スティーブンソンによる冒険小説「宝島」に登場する海賊の名を冠した作品群。3作の一挙上演は初めて。

 戦後の東京。戦時中に片足を失った男「シルバー」は平和な日常に耐えられず突然失踪する。夫を捜す旅を続ける妻、妻に迫る男、母を亡くした少年など、多様な人物が姿を見せる。

 「それぞれが、他者に評価されることを求めて『何者』かになろうとする『独り言の世界』がそこにある」。演出を務める劇団代表の中野敦之さん(38)は、人間の内面に深く迫る本作の魅力を語る。

 横浜国大で教授を務めた唐さんのゼミナールを基に2005年に発足した唐ゼミ☆にとって、同シリーズは劇団員たちを鼓舞する特別な作品。「唐十郎がいかに物語の人であるかを証明したい」との思いで、合わせて5時間近くに及ぶ3作の上演に挑む。

 「伏線を張り、時間を操りながら一つの大きなクライマックスを創っていく。連続上演はコース料理を作る面白さやドミノを仕掛ける喜びに似ている」と中野さん。潮の香りが漂う絶好のロケーションで、登場人物の移り変わりを楽しんでほしいと話している。

 料金は3作セット6500円(要予約)ほか。単発の鑑賞も可能。公演の詳細は劇団ホームページで。問い合わせは唐ゼミ☆電話070(1467)9274。

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