路線バスの自動運転を実証実験 横浜・ズーラシア⇔里山ガーデン

路線バスを使った自動運転の実証実験が始まり、テープカットする関係者=14日、横浜市旭区のよこはま動物園正門

 相鉄バス(横浜市西区)の大型路線バスを使った自動運転の実証実験が14日、よこはま動物園ズーラシア(同市旭区)近くの公道で始まった。「里山ガーデンフェスタ2019 秋」の開催中の10月14日まで運行する。群馬大学(群馬県)の自動運転技術を活用するもので、バス事業者が一般客を乗せて自動運転車を運行するのは全国で初めて。同社は「自動運転技術への関心を呼び寄せ、早期実用化への機運を高めたい」としている。

 群馬大が開発した自動運転技術は衛星利用測位システム(GPS)とレーザーセンサーを使って走行ルートを認知し、周囲の状況を判断して「走る、曲がる、止まる」の操作を自動で行う。路線バスは決められたルートを走行するため自動運転技術の早期導入が期待されており、今回の実験で実用化に向けたデータ収集を進める。

 走行ルートは、ズーラシアから里山ガーデン間の約900メートルで、周囲に宅地はなく信号機や踏切もないことから選ばれた。実験は自動運転の研修を受けた12人の運転手が交代で乗車し、部分的に運転を自動化する「レベル2」で実施。約20キロで走行し、路肩に停車した車を避けたり、後続車が迫ったりした場合は運転手が手動運転に切り替えて操作した。運転手は万一に備えてハンドルの近くに手を添えていた。

 この実験は、人口減少による労働力不足に対応するため、自動運転バスで地域の交通課題の解決を目指す市の「I・TOP横浜 路線バス自動運転プロジェクト」の一環。

 14日にズーラシア正門前で開かれた出発式で、市経済局の林琢己局長は「自動運転のバスはスムーズな動きだった。人手不足が問題になる中、市としても大いにバックアップしたい」と述べた。

 群馬大次世代モビリティ社会実装研究センター副センター長の小木津武樹准教授は「この路線は歩行者との分離が進んでおり、他の車との交通整理ができている。2020年度には無人での自動運転『レベル4』が実現できる可能性がある」と期待。相鉄バスの菅谷雅夫社長は「運転手不足を見据えて10年前から用意してきた。自動運転のバスに気持ちよく、安心して乗っていただきたい」と話した。

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