強襲揚陸艦「アメリカ」佐世保配備 軍事的な役割 どう変化

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強襲揚陸艦アメリカ=2017年11月28日、米海軍提供(左) 強襲揚陸艦ワスプ=2018年10月29日、佐世保港(右)

 米海軍は今年、佐世保基地に強襲揚陸艦「ワスプ」(LHD1)に代わり、強襲揚陸艦「アメリカ」(LHA6)を前方配備する計画だ。二つの艦船の性能はどう違うのだろうか。ワスプ級と甲板の大きさがほぼ同じで、事実上の空母に改修される海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型はどのように展開されるのか。佐世保の軍事的役割の変化について考察する。

 強襲揚陸艦は、上陸部隊と、戦車や装甲車両を含む装備、航空機、上陸用の小型船艇などを積載できる。現在、ワスプ級8隻とアメリカ級1隻(別に建造中1隻)がある。佐世保基地によると、ワスプは米海軍のうち、米本土以外で唯一前方配備されている強襲揚陸艦という。
 米海軍は4日、ワスプが第7艦隊の前方配備海軍戦力を離れたことを発表。アメリカは年内に佐世保に配備されるとみられる。
 米海軍のホームページ(HP)などによると、ワスプは1989年に就役。海兵隊をエアクッション型揚陸艇(LCAC)などの揚陸艇を使って上陸させる。米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)所属のF35B運用のため飛行甲板を強化するなど改修。オスプレイも搭載できる。
 アメリカは2014年に就役した。最新型で甲板が広く、ワスプより航空機用の格納庫などが充実。海兵隊をヘリコプターを使って上陸させる。アメリカは就役当初からF35Bの運用が可能だ。
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 二つの艦船の性能で大きく違うのは、ワスプは、海水を引き込み小型船が自由に出入りできる構造のウェルドックを有するが、アメリカは備えていない。つまり、アメリカはLCACが搭載できず、作戦の選択肢は一つ減ることになる。ただ、LCACを搭載できるドック型輸送揚陸艦「ニュー・オーリンズ」も佐世保基地に配備されるため、LCACの運用能力は確保される。
 米軍の動向を監視するリムピース佐世保編集委員の篠崎正人氏によると、ワスプは冷戦時代に設計された。しかしその後、不規則な海岸にLCACを使った上陸作戦は現実的に厳しいと判断され、上空からの上陸が重視されるようになった。こうした国防戦略の見直しに伴い、アメリカが開発された。
 最新型のアメリカが配備されても佐世保基地の役割は大きく変わらないとみる向きもある。一方で、米海軍のグローバルな展開戦略にさらに組み込まれるという見方もある。
 米海軍によると、アメリカを前方配備する理由は、アジア太平洋地域の同盟関係を強化するためという。防衛省は「日本に最新鋭で、高度の防衛能力を持つものを配備する方針と受け止めている」としている。
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 防衛省は、来年度の概算要求に31億円を盛り込み、海自の護衛艦「いずも」型2隻を改修する。いずも型の甲板はワスプ級(全長258メートル、幅42メートル)とほぼ同じ大きさ。F35Bを搭載する予定で、事実上の「空母化」に向けて本格化している。
 だが運用方法を巡っては不透明さも残る。政府が掲げるのは太平洋側の防空能力の強化。海自によると、太平洋で緊急時の避難プラットホームとしての運用を考えているという。米軍機が緊急に降りる事態も想定している。
 こうした状況に、対潜水艦作戦の司令塔的役割を持つ、いずも型護衛艦本来の機能が損なわれるのではないか、という声も上がる。篠崎氏は「どのような安全保障戦略を目指しているのか分からない。改修の目的や改修後の運用についてもっと議論を深めるべきだ」とした。