合体する銀河の唯一無二のアート

NGC 5256」は、おおぐま座の方向に約3億5千万光年先に位置しています。

NGC 5256は、Markarian 266の名前でも知られており、2つの銀河が衝突合体している最中の天体です。銀河の核はわずか13000光年の距離にあり、ガスや塵、星々が踊り狂う様な構造をしています。また、銀河の相互作用によって刺激された星形成領域からは、青く若い星が誕生していることが確認できます。この画像では、画像の中央右側にもNGC 5256よりも遠くに位置した、衝突銀河であろう天体が捉えられています。

この様な銀河の衝突は、決して珍しいものではありません。宇宙に漂う銀河の殆どが過去に経験した、もしくはこれから経験する出来事です。天の川銀河もまた過去に小さな銀河を吸収しており、そして約20億年後の遠い未来にアンドロメダ銀河と衝突合体し「ミルコメダ」という銀河になることが予測されています。

また、銀河の衝突は銀河規模で見ると構造を破壊する大きな出来事ですが、星単位では大きく離れている事から星同士の衝突は殆どありません。

NGC 5256の様な相互作用による唯一無二の構造は、宇宙の芸術作品とも言えるほど美しく、ハッブルのサイトでも「Arp 273(銀河のバラ)」や「NGC 4038(アンテナ銀河)」などが人気画像の上位にランキングしています。

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ「ACS」広視野カメラ3「WFC3」で捉えたデータを合成したもので、2017年12月に公開されました。

Image Credit:NASA / ESA / Hubble.
https://www.spacetelescope.org/news/heic1720/

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