佐々木朗希のマメは「関係ない」日ハム辣腕スカウトが語る衝撃「30年で1番の素材」

U-18W杯にも出場した大船渡・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

二刀流・大谷“生みの親”山田正雄スカウト顧問が語る佐々木朗希「衝撃的」「モノが違う」

 日本ハムの山田正雄スカウト顧問が今秋ドラフトで1位指名を公表している大船渡の163キロ右腕・佐々木朗希への変わらぬ思いを口にした。佐々木は右手中指のマメの影響で韓国で行われた「WBSC U-18ベースボールワールドカップ」では1試合、1イニングしか登板できなかった。ドラフトでは1位指名から撤退する球団が出てくることも予想されるが、同氏は「全然心配していない」「モノが違う」と一蹴。佐々木から受けた衝撃、大谷翔平(現エンゼルス)や奥川恭伸(星稜)との比較、さらには入団した場合の育成法の一端なども明かした。

 山田スカウト顧問は12年ドラフトでメジャー挑戦を表明していた花巻東・大谷翔平投手を強行指名。入団交渉では国内でプレーするメリットを粘り強く説明し、その後に二刀流としてメジャーへ羽ばたく逸材を翻意させた。二刀流・大谷の“生みの親”に、世界一をかけた大舞台で思い通りに投げられなかった剛腕はどう映ったのか。

「関係ないと思うけどな。あれだけ思い切り投げる投手だから、たまたま(侍ジャパンのU-18)合宿練習中にマメが出来たんだけど、そういうことはあるからね。全然心配はしてないですよ」

 6月に吉村浩GMが佐々木を1位指名すると明言。その方針にブレはないようだ。1986年からスカウト生活を送っている山田スカウト顧問が初めて視察したのは、今年3月31日の栃木で行われた作新学院との練習試合。190センチの長身で左足を高く上げて、軽々と150キロ超の剛速球を投げ込む姿に目を奪われたという。

「モノが違う。それは衝撃的でした。スカウトで30年以上やらせてもらっているけど、素材で言ったら1番。(担当スカウトらから)いろいろと聞いていたんだけど、まず投げるバランスがいい。投げる時にあれだけ足が上がるでしょ。あんな選手はいない。普通の人がやったら後ろに引っくりかえっちゃうよ。あれだけ体を大きく使えて、腕を思い切り振れたら指(のマメ)なんて。そういうこともありますよ」

花巻東・大谷、星稜・奥川を上回る期待感「大谷の高校時代より全然いい。奥川に比べて長いスタンスで見たら」

 これまでダルビッシュ、中田翔ら高校球界の逸材を指名に関わってきた。佐々木の視察は5、6度。190センチの長身から最速163キロの剛速球、そして岩手出身。投手・大谷と比較する声もあるが、高校時点では大谷以上と断言する。

「大谷の高校時代より全然いいよ。球も大谷より速いし、スライダーが凄くいい。それにコントロールもいい。まとまって投げることが出来る」

「(高校時代の)大谷は“暴れ馬”だったから。(大谷は)打撃の方はすぐに行けるけど、投手としては(1軍で活躍するまで)2、3年かかるだろうと思っていた。高校時代の大谷と比べたら、(佐々木は)すぐに1年目から出てきそう」

 今夏の甲子園で準優勝へ導いた星稜・奥川恭伸も注目を集める逸材。それでも、同氏は佐々木に惚れ込んでいる。

「現時点では(佐々木より)奥川の方がいいかもしれない。1軍の即戦力になるんだったら(奥川の方が)早いよね。ただ、長いスタンスで見たら……。奥川もかなりやるだろうけどね」

 体の強さなどは未知数の部分もあるが、すでに思い描いている育成法もあるようだ。

「(佐々木は)大きな大会に出てなかったりとか、鍛え方はどうなのかなと思うけど、逆に言えば、1年ぐらい“放牧”してやっていけば……。物が違うんだから出てくると思う」

 山田スカウト顧問の佐々木へ寄せる高い評価は変わらない。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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