<レスリング>【2019年世界選手権・特集】出場選手の声(第2日)

(2019年9月15日、カザフスタン・ヌルスルタン / 取材=布施鋼治・松本一葉、撮影=保高幸子)


 ■男子グレコローマン67kg級・高橋昭五(警視庁=準々決勝でデンマークの選手に逆転負け)「6月に全日本選抜選手権で勝ってから世界選手権まですごく練習して、自分の中では誰よりも練習していた。結局、あんな形で負けてしまって情けない。勝負は一瞬で終わることを実感しました。敗因は第1ピリオドで自分がポイントを取って大丈夫だろうと思い、ちょっとした隙に逆転されてしまったこと。最後も無理やりいったら点を取られ、終わってしまった。自分は何をやってきたんだろうなという感じです。

 世界選手権に向けて、すごい思いを込めてやってきたので、これからのことは考えられない。負けてこんなに悔しいのは初めて。今まで試合で負けても泣いたりせず、『ああ、負けてしまったんだな』という気持ちでいた。でも、今回は『何が何でも東京オリンピックの切符をとるんだ』という気持ちでやってきた。どんな顔をして日本に帰ればいいのか。誰か僕のパスポートを捨ててくれませんか」


 ■男子グレコローマン87kg級・角雅人(自衛隊=初戦でギリシャ選手に逆転フォール負け)「相手の組みに合わせてしまったところがいけなかった。僕自身が攻めている展開ではあったけど、もっと激しく、速く攻めないと。相手(のスタミナ)を削って削って、焦ってもらわないとダメだった。

 (勝負の分岐点となった第2ピリオド開始早々、相手に深く差されたことについて)そう差されたらどう対応するかもしっかり準備して、組まれた時のための組み技もひとつ用意していた。やばくなったら、絶対やってやると思っていた。でも、そのチャンスもなく、完全に相手の形になっていたので、反撃する隙もなかった。こんな試合内容では正直オリンピック出場は厳しい」


 ■男子グレコローマン97kg級・奈良勇太(警視庁=2試合目で昨年の世界王者に完敗も、敗者復活戦で上位入賞をかける)「自分の実力では、世界選手権でオリンピック出場枠を取るのは厳しいと思っていたけど、世界チャンピオンが負けたりする闘いの中で、1%の可能性があることを信じてマットに上がった。1試合目はアフリカの選手で、情報もあまりなく、点を取って取られての試合。勝てたのはよかったけど、点をやりすぎた。

 2試合目は世界一の選手との差を確かめる試合だった。差が大きかったことを実感した。(相手が)決勝に行ってくれることを望み、敗者復活戦でオリンピック枠を目指して頑張りたい(注=インタビューのあと、敗者復活戦へ回ることが決定)。しいて収穫と言えば、いつもは動きが悪い1回戦で動けたことと、世界トップ選手と闘えてその実力を知ったこと。あのようなリフト技をする選手は国内ではいないので、いい勉強というか、課題になった」

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