まちに本屋残したい 横浜・港北の老舗「地域の文化拠点」目指す

「ホンヤノニカイ」の改装に携わった人たちに囲まれる店主の石堂さん(手前中央)=石堂書店(同店提供)

 創業70年を迎えた横浜の老舗・石堂書店(横浜市港北区)が、親子で楽しめるブックスペースや、地元出版社が入るシェアオフィスを設けることで「地域の文化拠点」の創設を目指している。ネット書店の台頭などで経営難となる地域の書店が増える中、3代目店主の石堂智之さん(39)は「まちと人がつながる場として運営することで、まちに本屋を残したい」と意欲を示し、拠点実現に向けたクラウドファンディング(CF)での資金集めに協力を呼び掛けている。

 「ネットやスマートフォンが台頭し、情報があふれる時代だからこそ、地域密着型の『まちに開かれた本屋』として、まちとともに発展してゆきたい」

 石堂さんはCFで得られる資金を活用して、東急東横線妙蓮寺駅近くにある同店と、店舗向かいのスペースで二つの新たなプロジェクトを進めたい考えだ。

 一つは既にスタート。店舗2階を改装したシェアオフィス「ホンヤノニカイ」が7月にオープンし、地元の出版社「三輪舎」が入居した。今後は同店と三輪舎がコラボして、まちと人が本を介してつながるイベントスペースとして活用していくという。

 また、地域の人たちが気軽に立ち寄れるブックスペース「こいしどう書店」のオープンを目指している。現在は倉庫となっているスペースを改装するもので、飲食物を持ち込めるカフェスペースやアートギャラリー、紙芝居の読み聞かせなどのイベントを運営することにしている。

 国内最大級のクラウドファンディングサービス「キャンプファイヤー」を活用し、30日までに150万円を目標に募集。「ホンヤノニカイ」の備品の購入費として50万円、10月末にオープンを目指す「こいしどう書店」の改装費などに100万円を充てる予定。千円から支援でき、例えば3千円でオリジナルのしおりとブックカバーのセットが贈呈される。

 石堂さんによると、「ホンヤノニカイ」の改装は、地元の不動産・建築業「松栄建設」が中心となり、地域住民ら約30人が手作業で協力した。「出版社や地元の店舗と連携し、地域のコミュニティー拠点となることで、新しいまちの本屋のビジネスモデルを追求したい」と意気込んでいる。

© 株式会社神奈川新聞社