勝手にお金を使う夫にうんざり、直らない金銭感覚で夫婦関係に亀裂が…

結婚する段階で、なかなか「これからの家計の青写真」を話しあうことはむずかしいものです。でも、そのあたりをうやむやにして結婚してしまうと、あとでとんでもない目にあうことも。

子どもが生まれて、金銭感覚の溝がますます深くなってしまった夫婦もいるようです。


夫婦で出し合って家庭を運営

30歳のときに、1年半ほどつきあった32歳の男性と結婚したケイコさん(仮名・33歳)。結婚するときに決めた支出の分担は、住宅ローンは夫、光熱費を含む生活費は妻というアバウトなもの。双方の親から頭金を出してもらってマンションを購入したため、月々のローンは10万円ほどです。

「私の負担は8万円くらいですね。大きな買い物はそのつど話し合って決めていくことになっています。お互い、相手の収入の詳細は知らないんです。私自身は将来のことも考えて、結婚してからせっせと貯金してきました。子どもも持つ予定でしたから、夫もきっと貯金しているものだと信じていたんです」

ところが結婚して半年もたたないうちに、夫が車を買い換えました。なんの相談もなく買い換えたことに、ケイコさんは若干の不安を覚えたといいます。

「でも夫は、車は自分の趣味だし、自分の収入の範囲でやれるから大丈夫、と。そのころから、このやり方は間違っていたかなとイヤな予感はしていたんですよね」

結婚して1年でケイコさんが妊娠。これからはお金がかかるよと夫に言うと、「子どもにかかる費用はどうする?」という話になりました。

「生活費の範疇だから、これはきみの負担でよろしくって言われたときは、ちょっと唖然としましたね」

そこで思い切って、お互いの収入と貯金をきちんと知らせあってもう一度、家計を見直そうと提案しました。ところが夫はこれを拒否。

「子育て分として毎月2万円出す、と言われました。いや、そういう問題じゃない、全部透明にしないとこの先、やっていけないよとだんだんケンカになっていったんです」

ケイコさんのイヤな予感は的中しました。

先の見通しが立たない

夫は渋々、自分の収入と貯金を明らかにしました。その結果、驚いたことに夫の貯金はほぼゼロだったのです。それどころか消費者金融からの借金も判明しました。

「50万くらいでしたが借金があるなんて、とびっくり。夫は私より収入があることも初めてわかりました。夫によれば独身時代から車やオーディオなどが好きで、かなりお金をつぎ込んでいたみたい。確かに夫の部屋にはオーディオ製品がかなりたくさんあるんですよね。私は興味がないからわからないけど、年代物の高価な製品ももっているようです」

そういえば、とケイコさんは続けます。友だちの紹介で知り合ったふたりですが、夫は結婚という話が出たときも収入の話はしたがらなかったそう。結婚式をしなかったので、大きな出費の相談をする機会もなく、そのまま結婚になだれ込んでしまったのでしょう。

「私も年齢的に結婚を焦っていたんですよね。彼が収入のことを話したがらなかったのも、そういう人なんだろうと軽く考えていた。それなりの会社に勤めているから大丈夫だとも思っていたんですが、会社の名前と個人の経済観念とは別のもの。そこまで考えが至らなかった」

結婚と同時に共同名義でマンションも購入できたから、生活については不安をもたずにすんできたのです。

ところが出産を機にわかった彼の経済観念と貯金ほぼゼロ、借金ありの現状に、ケイコさんはうんざりしたそうです。

夫との間はぎくしゃくして

そのまま夫の借金をケイコさんが返してもよかったのですが、「これは夫の性格だから、見過ごすわけにはいかない」と義父母に話しました。

「義父母があまり驚かなかったので、前にもこういうことがあったのかと尋ねると、独身時代、やはり借金がかさんで200万円を肩代わりしたことがある、と。『ごめんなさいね。あなたからきちんと返してね』と義母に言われましたが、こうやって甘やかすのはよくないと思いますとはっきり言ってやりました。すると義母は『これからはあなたに任せるから、厳しくしてやって』って。いや、私は教育係じゃないんですけどと言いたかったですね」

ケイコさんは夫から消費者金融のカードを取り上げ、借金は返済しました。ただ、会社員である夫なら、またどこかで新たに借金することも可能。これから子どもも生まれるのだから、借金はしないでほしい、もっと自覚をもってとさんざん説教をしました。

「そうしたらプイと車で出かけてその日は帰ってきませんでした。結婚してからわかったんですが、彼は本当に“お子ちゃまの精神をもつ王様”なんですよ。始末が悪い(笑)」

結局、彼の考えやお金への考え方を改善する方法も見つからないまま、ケイコさんは出産。一次的な費用もケイコさんが出しました。夫には社内預金をするように勧めましたが、実際にやっているかどうかは不明。

「あまり言うと不機嫌になるので、なかなか言いづらいですね。私自身も、今は子どもを保育園に預けて職場復帰したばかり。今は時短で働いているので収入も減っていますが、夫には相談できない。家があるんだからキリキリする必要ないと友人にも言われますが、夫の様子だといつローンが払えなくなっても不思議はないんじゃないかと不安になります」

家計の分担や、誰がやりくりするかは家庭によって違いますが、結婚は生活そのもの。お金に関する根本的な考え方は一致させておく必要がありそうです。

© 株式会社マネーフォワード