ソーラーカーで世界王者奪還 東海大生が豪州横断へ

「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」で3大会ぶりの優勝を目指す東海大学のソーラーカーチーム=平塚市の同大湘南キャンパス

 ソーラーカーレースの世界王者奪還に向け、東海大学の学生らによる「ライトパワープロジェクト」のチームがこのほど、同大湘南キャンパス(平塚市北金目)で新型車両を公開した。挑むのは10月にオーストラリア大陸を縦断する世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」。企業とも技術協力し、2014年以来遠ざかっている世界大会の頂点を目指す。

 同大のライトパワープロジェクトは学生の課外活動の一環で、専門分野の枠を超えて人力飛行機や電気自動車などを開発。06年に結成されたソーラーカーチームは08年から12年にかけ、世界大会5連覇を果たしたものの、ここ5年ほどはライバルの台頭により各種の世界大会で優勝から遠ざかっている。

 3大会ぶりの優勝を目指す今回のレースは隔年開催され、世界23カ国から大学や企業の47チームが参戦。10月13日にオーストラリア北部のダーウィンを出発し、南部・アデレードまで約3千キロを5日間で走破する。

 新たに開発された新型車両「Tokai Challenger(トウカイ・チャレンジャー)」は09年の初代から代々、改良が加えられて6代目。学生約50人が設計から組み立てまで行い、昨年6月から1年以上をかけて完成までこぎ着けた。

 今月3日、報道陣の前で新型車両の試走を行った学生リーダーで同大4年生の武藤創(あらた)さん(22)は「東海大のソーラーカーは風切り音もなく走行音が静かだと(ライバルチームからも)評判」と胸を張った。流線形の車体にかかる空気抵抗が少なければ、低燃費での走行が可能となる。今回はさらに車体内に風が流れ込まないように工夫し、さらなる空気抵抗の軽減を図った。

 ボディーも繊維大手の東レの協力を得て、新型の炭素繊維を使った強化プラスチックを採用。細かな設計を見直して車両の軽量化を図り、車両重量は140キロと17年製の旧型と比べると30キロも軽くなった。発電効力も上げ、理論上の最大速度は10キロほど高速化し、時速150キロまで上がった。

 今レースは企業約40社から技術協力を得た。同大工学部助教でもある佐川耕平総監督は「学生時代に世界で通用できる技術を学ぶ意味は大きい。ソーラー技術の普及にもつながる」と強調。自らは3度目の世界大会となる武藤さんは「大会までの1カ月、車両を1グラムでも軽くできるようやれることをやる。もがいて苦しんでゴールでの達成感を楽しみたい」と意気込んだ。

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