『アイネクライネナハトムジーク』 温かい気持ちで楽しめる、さまざまな男女の日常

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(C)2019 映画「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会

 ベストセラー作家の伊坂幸太郎による同名小説を、映画『愛がなんだ』の今泉力哉監督が映画化した作品。主演を務めるのは、三浦春馬と多部未華子。三浦が演じる会社員の佐藤と多部演じる紗季が仙台の駅前で偶然出会って恋に落ち、一緒に住んで10年後、ついに決意してプロポーズをしたことから物語が進んでいきます。

 この話の面白いところは、このカップルにただフォーカスしているだけではなく、彼らを取り巻く様々な人間たちの10年間も同時に描いていること。佐藤の母校のマドンナだった由美と結婚して、二人の子供に恵まれている幸せいっぱいな一真、大好きだった妻と子供に突然出て行かれた佐藤の上司・藤間。さらに、声しか知らない男性に恋した美容師の美奈子。出てくる人たちは、ドラマティックな出会い方をするわけでも、大恋愛をしているわけでもありません。普段はイケメンの三浦春馬くんですら、なぜか普通のサラリーマンに見えてしまうほど。散りばめられた伏線と心に残るセリフはさすがの伊坂。さらに素晴らしかったのは、決して特別ではない日常の風景に、時に「あるある、こんなこと」なんて言いながらプッと吹き出したり、温かい気持ちになって映画を楽しむことができたこと。

 斉藤和義さんが担当する音楽も最高です。特に、アラサー、アラフォー、そしてアラフィフ世代! 本当にあったかーい気持ちで観れるから、高校生の恋愛物を観て「こんなキラキラない!」ってちょっと物足りないっていう方にはぜひ観ていただきたい作品です。★★★★★(森田真帆)

監督:今泉力哉

出演:三浦春馬、多部未華子

9月20日(金)から全国公開