サイバーパンクという長く続くジャンルに我々の爪痕を残したい―「サイバーパンク2077」開発者インタビュー【TGS2019】

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千葉・幕張メッセにて9月12日より開催の「東京ゲームショウ2019」。本作のレベルデザイナーを担当するMax Pears氏にインタビューを実施することができた。ブースの模様とあわせてお届けする。

「東京ゲームショウ2019」内に設置された「サイバーパンク2077」ブース。試遊台などはなかったが、ゲーム中に登場するバイク「YAIBA KUSANAGI」の実物大モデルが展示されており、バイクにまたがり記念撮影が行えるようになっていた。

「YAIBA KUSANAGI」のフォトスポット。背景には、ゲーム内の登場人物であるジョニー・シルヴァーハンドを演じたキアヌ・リーブスのサインも。

こちらのブースのメインコンテンツは、三人掛けの椅子が6×6席ほど設置された、巨大な特別シアターだ。まさに映画さながらといった感じだが、ここで行われたのは、日本語吹替版を使用した実機デモプレイである。筆者もインタビュー直前の9月13日に鑑賞。日本人だけではなく、海外の人たちの姿もちらほら見かけ、本作の注目度の高さをうかがい知ることができた。

この日はビジネスデイだったが、それでも多くの人が列をなして並んでいた。

内容としては主人公のV(ヴィー)が、ギャング「ヴードゥ-・ボーイズ」のリーダーであるママン・ブリジッドを探しに行くというもの。途中、「ヴードゥ-・ボーイズ」のライバルである「アニマルズ」との戦闘を通して、本作独特のステルス戦略に長けた「ネットランナー」や、パワースタイルの「ソロ」といったプレイスタイルの紹介が行われた。

この特別シアターでは、冒頭に本作のローカライズを担当しているほか、「オーバーウォッチ」の日本語翻訳でもおなじみの西尾勇輝氏が自らゲームの概要を紹介。今回は日本語吹替版ということで、音声だけではなく画面内に出てくる字幕などもすべて日本語化されていたが、さらにわかりやすくするために、ときおり解説も交えて紹介が行われていた。

本作はタイトルにもあるように、2077年という近未来を舞台にしたSF作品だ。様々な言語が飛び交っているのだが、映像を見ていてひとつ面白かったのは、体内にチップを埋め込むサイバネティック技術のおかげで、そうした言語がリアルタイムに変換されていく様子である。ARやAIなどが技術というよりもはや道具として扱われており、いかにもSFチックな雰囲気を醸し出しているのである。

アニマルズのリーダー・サスカッチとの戦闘シーンも盛り込まれていた。いかに弱点を上手く突くことができるかが、勝負の鍵となりそうだ。

約50分という、まさに短編映画並みの時間だったが、大型スクリーンで見るゲームの映像はまるでその世界に入り込んだかのような体験で、あっという間に時間が過ぎてしまった。上映終了後には、参加者にオリジナルグッズの「SAMURAIハンドタオル」と「サイバーパンク2077 LEDバッジ」がプレゼントされていた。

特別シアターの参加者に上映終了後配られたノベルティ。

■CD PROJEKT RED レベルデザイナー Max Pears氏インタビュー

特別シアター鑑賞直後に、CD PROJEKT REDのレベルデザイナーとして、本作の舞台である「ナイトシティ」の造形などを担当したMax Pears氏にインタビューをすることができた。

――Maxさんはレベルデザイナーをされているということなので、まずはそちらに関連したところからお伺いしたいと思います。「サイバーパンク2077」には全部で6つの地区が登場します。それらのレベルデザインをするときに、どこから考えていったのでしょうか?

Max氏:昨年のE3で公開されたデモは、6つの地区の中のワトソンが舞台です。今年はパシフィカという地区の情報を公開しましたが、建築様式や人の多さなどそのふたつを比較してもらうだけでも違うことがわかります。

それぞれの地区で、異なるスタイルを持たせることで様々なバリエーションをナイトシティの中で感じてもらえるような形を意識してデザインしています。

――映像では「ラーメン」などの日本語の看板も見かけることができました。本作は「ブレードランナー」や「攻殻機動隊」などのSF作品から影響を受けたそうですが、他にもインスパイアを受けた作品などはございますか?

Max氏:たしかにそうした作品からインスパイアを受けています。今回我々が「サイバーパンク2077」で成し遂げたいと思っていたことは、ものすごく長く続いている「サイバーパンク」というジャンルの中で、CD PROJEKT REDとしての爪痕を残したいということです。

そのひとつの例では、「ブレードランナー」に代表されるサイバーパンクの作品は、夜中心の暗い世界観を舞台にしています。しかし我々の「サイバーパンク2077」では、ゲーム内でリアルタイムに時間が経過することもあり、昼のシーンを積極的に見せています。昼の世界におけるサイバーパンクを描いた作品は、まだ数が少ないのではないでしょうか。

――本作はTRPGの「サイバーパンク 2.0.2.0」が元になっているとお伺いしました。そちらとの大きな違いはどのあたりになるのでしょうか?

Max氏:いい質問ですね。TRPGが原作なので、もちろん沢山の空想力や考える力が必要になってきます。TRPGならば、自分たちでこのキャラクターはこんな見た目をしているなど、いろいろと想像しながらプレイしていきます。しかし、我々が作っているのはビデオゲームなので、「サイバーパンク 2.0.2.0」をベースにして、我々が考える2077年におけるビジュアルを提供しています。それをユーザーが実体験できるところが大きな違いです。そうすることで、より多くの人に本作の世界観に興味を持って頂けるようになる、と信じています。

――キアヌ・リーブス演じるジョニー・シルヴァーハンドは、主人公とどのように関わってくるのでしょうか?

Max氏:具体的なことはまだ申し上げられませんが、要所要所において、ジョニーとの接し方・・・・・・たとえば彼と会話をして選択肢を選ぶシーンがあります。ジョニーというキャラクターと接することが、ある種ストーリーの要となってきます。ゲーム中は、もっとキアヌ・リーブス演じるジョニー・シルヴァーハンドを見ていただける機会が沢山あります。

――ゲームには無数の選択肢が用意されています。それは物語やエンディング、あるいはゲームプレイにどのような影響を及ぼすのでしょうか?

Max氏:「サイバーパンク2077」、もしくはCD PROJEKT REDの哲学として、選択肢が物語でありエンディングも含めて様々なところに影響を及ぼしていくことを再現するところに、一番力を入れています。「ウィッチャー3 ワイルドハント」でも、そうした選択で結末が変わるようになっていましたが、もちろん「サイバーパンク2077」でも導入しています。

単純な回答としてはエンディングまで影響しますが、それがどのように自然な形でエンディングに繋げて、どのようにして自分の選択が自分の思い描くストーリーに繋がっていくかというところを、スタジオの命題としています。我々が作るすべてのゲームにおいて、選択と結果を重視しています。

――少しライトな質問に切り替えますが、通常この手のオープンワールドRPGでは、主人公が男性または女性のキャラクターに限定されることが多い印象です。今回男女両方のキャラクターを主人公として用意されているのは、どのような意図からでしょうか?

Max氏:「ウィッチャー3 ワイルドハント」では、ゲラルトという主人公がいました。それは、この作品で描かれたのが彼の物語だからです。今回の「サイバーパンク2077」で描きたかったのは、ナイトシティにひとりの若者が訪れて、他者に食われずに仕事を成し遂げて大成していくストーリーです。

そのため、ひとりのキャラクターであるという考え方はしていません。プレイによって、そのキャラクターがどのような結末を迎えるか、プレイヤーの選択による影響が大きいと考えています。先ほども触れましたが、スタジオでは“選択と結果”を最も重視しており、もうひとつ加えるならば原作の「サイバーパンク 2.0.2.0」がTRPGという側面があり、自分好みのキャラクターを作って演じていく要素も大きく影響しています。

――選択肢は悩ましそうですよね。

Max氏:ぜひ実際に購入してプレイしていただけるとありがたいです(笑)。

――1プレイあたりどれぐらいの時間が掛かることを想定されていますか?

Max氏:現状ではまだ具体的に計測したことはないのでわかりませんが、ひとつ言えることは「ウィッチャー3 ワイルドハント」は非常に大ボリュームでしたが、それと同じぐらいの体験ができる形を目指して作っています。

――相当たっぷり遊べそうですね!

Max氏:そうなるといなと思っています。

――「サイバーパンク2077」のブースではバイク「YAIBA KUSANAGI」が飾られていましたが、他にも印象的な乗り物は登場しますか?

Max氏:「YAIBA KUSANAGI」は私も大好きなバイクですが、ほかにもさまざまなバイクが登場します。主人公がアニマルズを拠点に訪れたときに、バイクに乗って出ていくというシーンがあります。彼らは彼らのスタイルのバイクを持っています。もちろん、車も沢山出てきます。

昨年のE3のデモで、主人公が黒い車に乗っていました。あれはクアドラという名前の車ですが、こうした車もレトロなスタイルと未来のスタイルを合わせ持ったデザインをしており、非常にオススメです。

――オープンワールドRPGということで、今のような乗り物で移動するほかファストトラベルのような要素も盛り込まれていると思います。あえて乗り物を選ぶメリットはございますか?

Max氏:もちろん、ファストトラベルで特定の場所に高速移動することはできます。ナイトシティは、「ウィッチャー」と比較するとより高密度でいろんな人が住んでおり、様々なアクティビティがあります。そのため、自分の足や乗り物で移動することで、突発的なイベントが発生するイベントに遭遇することがあるかもしれません。

ナイトシティ自体が美しい街なので、そこで景色を楽しんだりそこに住む人々を見ていただいたりするために、自分の足で移動していただくことをオススメします。

――本作で注目して欲しいポイントはありますか?

Max氏:私個人の観点から一番のオススメポイントは、自由度の高いキャラクター作成システムです。特にスキルとアビリティシステムです。今回は「ネットランナー」タイプと「ソロ」タイプというふたつのビルドがありますが、それは固定されるモノではありません。

たとえばそれらをミックスして、自分だけのV(ヴィー)を作り上げていくこともできます。キャラクターの成長の方向性を自分で決めて、ユニークなキャラクターを作り上げることができるところが、個人的には一番のウリだと考えています。

――最後に、本作の発売を楽しみにしている日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Max氏:実際に「東京ゲームショウ」に来てみて、多くの人と触れあう機会がありました。皆さん「サイバーパンク2077」の発売を待ち望んでいて、非常に光栄です。もう少し時間がかかりますが、お待ちいただいてぜひ遊んでいただければと思います。

――ありがとうございました!

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