猫虐待 求刑上回る判決 地裁高岡「愛護意識高まり考慮」

 飼い猫を連れ去って虐待し死なせたとして、器物損壊と動物愛護法違反の罪に問われた富山市布目、無職、新村健治被告(52)の判決公判は17日、地裁高岡支部で開かれ、梅澤利昭裁判官は懲役8月、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役6月)を言い渡した。求刑を超える判決について梅澤裁判官は「動物愛護への意識の高まりを考えると求刑はやや軽い」とした。

 判決理由で梅澤裁判官は、同被告が独り暮らしの寂しさを紛らわせるため猫を連れ去り、苦しむ様子を楽しんでいたと指摘。「残虐さが社会に与えた不安感は大きく、嫌悪感や憤りを抱かせた。動機や経緯に酌量の余地はない」とした。

 梅澤裁判官は「法律上、動物は人として扱われないが、飼い主にとっては紛れもなく家族の一員。責任の重さを忘れないようにしてください」と説諭し、同被告は小さくうなずいた。

 判決などによると、同被告は5月19日午後1時半ごろ、射水市足洗新町(新湊)の路上で、近くの男性が飼っていた雄の猫1匹を連れ去り、同23日ごろまで自宅浴室で金属製捕獲器に入れて餌を与えず衰弱させ、プラスチック製の棒で腹部を多数回突くなど虐待し、死なせたとしている。

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