点眼剤をミャンマーに輸出 日東メディック 

点眼剤の生産ライン=富山市八尾町保内

 日東メディック(富山市八尾町保内、中井龍社長)は来月下旬から、ミャンマーに向けて医療用点眼剤の輸出を始める。同国政府から1品目の販売承認を取得した。初年度は約5万本の輸出を予定する。同社として医療用医薬品の海外展開は初となる。今後、東南アジア市場への進出を加速させる考えだ。

 輸出するのは非ステロイド性抗炎症剤。現地の業務提携先を通じて販売する。日東メディックは2017年から眼科用サプリメントをミャンマーに輸出し、現地市場への展開を進めてきた。

 他国でも輸出に向けた準備を進めている。東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした6カ国で現地の提携先を通じて医療用点眼剤11品目の製造販売承認申請を完了した。年内に2カ国でさらに数品目の承認申請を予定する。本年度中には3カ国で数品目の承認取得を見込んでいる。

 同社は、人口減少などで日本市場の伸び悩みが懸念される中、ASEANなど海外市場への展開を強化する。当面は売上高の海外比率を10%に高めることを目指す。

■成長市場開拓に注力 県内メーカー  ミャンマー市場の開拓に力を入れる県内医薬品メーカーが相次いでいる。同国で医療用貼付剤の販売承認を取得した救急薬品工業(射水市戸破・小杉、稲田裕彦社長)は来月の輸出に向けて準備を進める。渡辺薬品工業(富山市水橋北馬場、渡辺耕市社長)も看板製品の正露丸糖衣錠の展開を目指している。

 ミャンマーは今後の急速な発展が期待される。親日的な国民性で、高品質の日本製医薬品への需要が高いとされ、各社は市場の成長を取り込むチャンスとみる。

 ASEANは近年、医薬品の承認基準を厳格化する傾向にある。ミャンマーでも申請に必要なデータをそろえるコストが増えたり、承認までの期間が長引いたりする可能性があり、いち早く進出する必要があるという。

 薬価引き下げなどで日本国内の収益環境が悪化する中、各社は現状を維持するだけでは減収が避けられないとの危機感を抱く。強みとする技術を生かして海外に打って出ることに活路を見いだし、新たな成長戦略を描いている。(経済部・池亀慶輔)

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