【MLB】米名物実況が語る大谷、数々の記録達成に重なる天才の姿 「若き日のトラウトを…」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

「ビッグフライ、オオタニサーン!!!」の名台詞でお馴染みのビクター・ロハス氏に独占インタビュー

 エンゼルスの大谷翔平投手は13日(日本時間14日)にロサンゼルス市内の病院で左膝の「分裂膝蓋骨」の手術を受け自身の今シーズンは終了した。今季は昨季に受けた右肘手術の影響もあり打者1本に専念し106試合に出場して打率.286、18本塁打62打点の成績を残した。

 この度、Full-Countでは「ビッグフライ、オオタニサーン!!!」の名台詞でお馴染みの米スポーツ局「FOXスポーツ・ウエスト」でエンゼルス戦の実況を務めるビクター・ロハス氏に独占インタビューを行い、メジャー2年目を終えた大谷翔平について語ってもらった。

――日本、アメリカでも衝撃が走った大谷の手術。打者に専念しどれだけの成績を残すのか、大きな注目が集まっていただけにシーズン中の離脱は残念なニュースになった。

「テキサスの家で息子の誕生日を祝っているときに球団からメールをもらって知ったんだ。そんな情報は全く予想していなかったから、少し驚いたよ。八月後半くらいに少し打撃に関して苦しんでいたけど、最近は調子も上がってきて、本塁打も打っていた。走るのも問題無さそうだった」

――来年は二刀流復活にも期待がかかる。

「まだ数週間シーズンが残っている状態で離脱するのは残念だ。だけど大事なのは彼をスプリングトレーニングまでにマウンドに戻してやることだから、このタイミングでの手術は彼のためを思えば仕方ないと思う」

――9月11日(同12日)のインディアンス戦では自己最速の打球速度114マイル(約183キロ)を記録した18号ソロを放ちメジャー通算40号をマークした。

「彼は大きいアーチを描くタイプのバッターだから、あのライナーには驚いた。彼がいかに優れた才能を持っているかを示していたね。軸足となる足を怪我していながらあそこまで打てるのは天性のものだと思う。7月あたりからたまに見受けられた、少し変なスイングも、膝の影響があったのかもしれないと納得したよ。彼自身ごまかしながらやってきたのかもしれない。怪我を知って納得がいったよ」

「ビッグフライ、オオタニサーン!」の名台詞でお馴染みのビクター・ロハス氏【写真:盆子原浩二】

来シーズンは二刀流で復活する可能性「10勝、20本なんて彼にとっては簡単だと思う」

――2018、19年とメジャー2シーズンの大谷をどのように見ていますか?

「彼を見た最初の日から言っているけど、とてもエキサイティングなプレーヤーだよ! 投打どちらも出来るのはとても魅力的だしね。オールスター明けから今まで、トミージョン手術のリハビリによる疲れがたまっていたのかもしれない。そのせいで少し成績を落としていたのかもしれないけど、試合に出ることとリハビリを行うこと、同時にやるのはとても大変なことだ。それでも毎日疲れを見せず、休みたいとも言わずに試合に出る準備をきっちりしていた姿は、プライドに満ちていた。来年は健康で1年過ごせるといいね」

――メジャーデビューから通算40本ホームランを打ちましたが、印象に残っているホームランはありますか?

「去年のヤンキース戦のホームランは興奮したね! そうそう、セベリーノから打ったやつだ。アレが一番だ。あとは…どれにしようかな…そうだ、今年だったと思うんだけど、内角低めをバックスクリーンに豪快に運んだ一発だね。あのコースは、左打者なら右方向に引っ張るのが普通だけど、彼はセンター方向に打ち込んだ。彼がいかにえげつないバッターかを示した一撃だったね」

――アストロズのジャスティン・バーランダーとは名勝負を昨年から演じてきた。大谷は自身25歳の誕生日の日にバーステーアーチを放つなど、日本でも注目を集めた。

「彼は殿堂入りするピッチャーだからね。試合後、『奴はなかなかいいバッターだ』と言っていた。これが野球の美学だと思うよ。今日世界の頂点にいても、明日は一番下にいるかもしれない。その逆もあり得る。バーランダーのような男でも、打ち込まれる日だってあるしね。大谷と対戦した日は彼にとってまさにそんな日だった。彼が色々なピッチャーと対戦するのを見ていると、本当に面白いよ」

――大谷に来年期待することは?

「とにかく健康に過ごすこと。それだけだね。去年のように、週に1回投げて4日打席に立つだろうから、20~25回は先発してほしい。10勝、20本なんて彼にとっては簡単だと思う。彼が万全の状態なら、いつの日かノーヒットノーランを成し遂げると思うよ。アレだけのものを持っていて、彼がそれをできないはずがない。実際今年、彼はサイクルヒットを成し遂げたしね。大谷を見ていると、若き日のマイク・トラウトが様々な素晴らしい記録を残していく過程を見守っていた頃のような高揚感を覚えるよ。だから、とにかく彼の健康を祈る」

――ロハスさんの「ビッグフライ、オオタニサーン!!!」という掛け声は彼を元気付けると思います。

「彼が打ったら全力で言うさ(笑) あれ、今実際に言うのかい? ビッグフライ、オオタニサーン! こんな感じかな?(笑)」(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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