「東電強制起訴」19日判決 東京地裁、大津波の予見可能性争点

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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された被告の勝俣恒久元会長(79)、武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)の東電旧経営陣3人の判決が19日午後1時15分から、東京地裁(永渕健一裁判長)で言い渡される。検察官役の指定弁護士は3人にいずれも禁錮5年を求刑。3人は「大津波は予測も対策も不可能だった」として無罪を主張している。

 争点は予見可能性(大津波が来ることを具体的に予測できたのか)と、結果回避義務違反(対策を講じれば津波被害は防げたか)の有無。

 指定弁護士側は、最大15.7メートルの津波が原発を襲う可能性を指摘した試算が、東電子会社から東電へ報告されていたことなどを根拠に、津波到来が予測できたとし、責任を追及している。一方の弁護側は、報告自体は認めているが、試算の信ぴょう性が低いと認識していたとし、津波予測には結びつかないとしている。

 双方の攻防では、東電子会社の試算の根拠となった国の地震予測「長期評価」が重要な争点となった。この長期評価は2002(平成14)年に発表され、本県沖での大津波の危険を指摘している。

 指定弁護士が長期評価には信頼性があると主張しているのに対し、弁護側は「内閣府が内容を疑問視しており、専門家でも意見が分かれた」として信頼性などを否定、試算結果を重要視しなかった根拠の一つに挙げている。これまでの公判では、複数の専門家が証人として法廷で証言しているが長期評価の信頼性についての意見は分かれている。

 指定弁護士は「原発事故は万が一にもあってはならない。3人には津波に関する詳細かつ最新の情報を収集し、安全対策を取る義務があった」とも主張。弁護側は「全く想定されていなかった大地震と津波で、試算に基づいて工事をしたとしても事故は防げなかった」としている。

 起訴状によると、3人は大津波の対策を怠り、大津波の浸水によって原発事故を招き、長時間の避難を余儀なくされた双葉病院(大熊町)の入院患者ら44人を死亡させたほか、原子炉建屋の水素爆発で自衛官ら13人にけがを負わせた、としている。