V長崎 天皇杯J1仙台に挑む ホームで4回戦

仙台の報道陣も参加した囲み取材に笑顔で応じるV長崎の手倉森監督=諫早市、なごみクラブハウス

 サッカーの第99回天皇杯全日本選手権(日本サッカー協会、Jリーグ主催、長崎新聞社など共催)の4回戦は18、25日、各地で計8試合が行われる。V・ファーレン長崎は18日午後7時から、諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で前回準優勝のJ1仙台と対戦する。クラブ初の8強入りを目指す。
 V長崎は2回戦で四国リーグの高知ユナイテッドSCに延長戦、3回戦は日本フットボールリーグ(JFL)のヴィアティン三重にPK戦で競り勝ってきた。チームは14日にJ2リーグで徳島と戦い、さらに21日には京都戦が控える過密日程。故障者も出ているだけに総力戦が求められる。
 仙台は現在J1リーグ14位と低迷しているが、前節は札幌に3-1で快勝して調子は上向きだ。日程的にも今週はリーグ戦がないため、余裕がある。国見高出身の兵藤、関、元V長崎の飯尾、中原ら長崎ゆかりの選手も在籍している。
 仙台で長年指揮を執った手倉森監督は「天皇杯は下克上が注目される。ようやく格上相手に思い切りやれる状況になった。真剣勝負で挑める準備はできている」と楽しみにしていた。

◎手倉森監督 古巣戦に期待感
 「縁があるな」。柔和な表情の中に垣間見える鋭い眼光が期待感を物語る。V長崎の手倉森監督は、長く指揮を執ったJ1仙台と4回戦で顔を合わせる。前回大会準優勝の“古巣”に挑む一戦を待ち切れない様子だ。
 仙台がJ2だった2004年からコーチを務め、08年に監督就任。09年にJ2を制してJ1昇格を決め、同年度の天皇杯では「J1を決めた勢い」で4強に導いた。
 サポーターとの一体感を選手に常に求めていたが、昇格1年目は14位。転機は11年の東日本大震災だった。「(被災地のクラブとして)人の気持ちをくんで戦うことの意味をようやく分かった」と選手の姿勢が変わったといい、その年は4位、翌年はクラブ史上最高の2位まで上り詰めた。
 16年リオデジャネイロ五輪を率い、昨年のワールドカップ(W杯)ロシア大会ではコーチとして世界の舞台も経験した。6年ぶりにJクラブの監督に復帰したV長崎でも「誰かの生きがいでいたい」という信念は変わらない。「平和への感謝を示せる」被爆地をホームタウンとするクラブとしての役割を全うする。
 今大会は2回戦で高知ユナイテッドSC、3回戦でヴィアティン三重に苦戦したが、格上相手の爆発力には自信がある。それだけに「冷静にきちんとマネジメントしないといけない」と興奮気味な自らを律するように話した。

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