石木ダム事業 どうなっているの? 用地収用巡り一大局面

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土地の収用を巡る動き

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業で、反対住民13世帯の宅地を含む全ての未買収地約12万平方メートルの一部の明け渡し期限が19日に迫っています。同事業が大きな局面を迎える中、中村法道知事が同日、地権者ら反対住民と約5年ぶりに県庁で面会することになりました。

 ◎石木ダムって?
 佐世保市の利水と周辺河川の治水を目的とした総貯水容量548万立方メートルのダムです。1972年に県が予備調査に着手し、75年に国が事業採択。2013年に国が土地収用法に基づく事業認定を告示しました。住民や反対派が根強い抵抗を続け、事業着手から40年以上たった今もダム本体は建設されていません。現在は22年度を完成目標にしています。同事業を巡っては、地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟(一審は原告敗訴)などが係争中です。

 ◎今、事業は大きな局面にあるの?
 土地収用法に基づく手続きは着々と進み、地権者らの意思に関係なく行政が土地の権利を取得する強制収用が可能な段階に来ています。県収用委員会は5月、未買収地約12万平方メートルの明け渡しを求める裁決を出し、ダム建設に必要な全ての用地を強制的に収用することが可能になりました。これまでに取得した土地に続き、裁決は19日を残り約12万平方メートルの権利取得の時期としており、20日午前0時に県と佐世保市が土地の権利を取得する見通しです。

 ◎土地収用法とは?
 公共事業に必要な土地の権利を得る手続きについて定めた法律で、多くの人の利益のために個人の土地を利用できるようにすることが目的です。「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」とした憲法第29条第3項が根拠になっています。

 ◎これからどうなるの?
 家屋などの建物を含まない土地は19日、建物を含む土地は11月18日が明け渡し期限です。期限までに土地を明け渡さない場合、県と佐世保市は知事に行政代執行を請求することが可能になります。

 ◎行政代執行って?
 行政が持ち主に代わって家を壊したり、住民を立ち退かせたりすることです。代執行に踏み切る場合、県は改めて設定した期限までに土地を明け渡すよう求める「戒告書」を送ります。それでも応じなければ代執行の時期や費用などを盛り込んだ「代執行令書」を送り、代執行をすることになります。

 ◎中村知事は何と言っているの?
 代執行をするかどうか判断するのは知事です。中村知事は「あらゆる選択肢について改めて検討する。代執行の手法は除外しない」と発言しています。

 ◎反対派はどんな主張をしているの?
 利水・治水の効果や必要性を検証した結果、住民を立ち退かせてまでダムを造る必要はないと主張しています。さらに、強制収用や行政代執行は憲法で保障されるべき基本的人権に反する行為だと強く反発しています。事態が緊迫した同事業の今後の動きが注目されます。