葦毛湿原|「東海のミニ尾瀬」と周囲の山々をめぐる登山コース 「東海のミニ尾瀬」と呼ばれる葦毛湿原は、標高70m前後の緩やかな傾斜地に広がる湧水湿地です。市街地近郊にある身近なハイキングコースとして、春と秋の開花シーズンには、毎年数多くの市民が訪れます。今回は、希少な植物や昆虫が数多く生息する葦毛湿原と、その周囲の山々をめぐる登山コースをご紹介します。

葦毛湿原ってどんなとこ?

  • 標高: 約70m
  • 所在地: 愛知県豊橋市
  • 体力レベル: ★
  • 難易度レベル: ★

愛知県豊橋市岩崎町にある葦毛湿原(いもうしつげん)は、豊橋市街地からほど近く、貴重な自然と気軽に接することができる場として市民に親しまれている場所。
岩でできた地盤の上を、湧水が染み込まずに流れ続けることで形成された湧水湿地で、「東海のミニ尾瀬」の愛称でも知られています。

花の百名山にも選定された希少種の宝庫

花の百名山に選定されている葦毛湿原には、水辺で育つ湿性植物だけでなく、氷河期からの残存植物や高山性植物や食虫植物など約250種類が自生し、四季折々に花園を作り出しています。
分布が東海地方にほぼ限られる貴重な種が数多く生育していることから、湿原全体が愛知県天然記念物に指定されていて、鳥類や両生類、約200種類におよぶ昆虫も見どころのひとつです。

市街地からのアクセス良好なハイキングスポット

豊橋市街から葦毛湿原駐車場まで、車で10~15分程度というアクセスのよさも人気の理由。湿原内はよく整備されており、木道に沿って歩きながら、動植物をじっくりと観察できます。
また、弓張山地に三方を囲まれているため、湿原を抜けて周囲の山々をめぐるルートを設定すれば、自然観察と登山を一度に楽しむこともできるんです。

葦毛湿原の適期は?

いつ訪れても折々の花を楽しむことができる春から秋がおすすめ。春先にはショウジョウバカマやハルリンドウ、夏には木道沿いに食中植物の花が咲き、一番の見頃といわれる9月には、シラタマホシクサが湿原一面に小さな花を咲かせます。

天気も必ずチェック

【ハイキングコース】葦毛湿原1周コース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表

木道に沿って葦毛湿原を1周するコース。短く、歩きやすいため、気軽にハイキングを楽しむことができます。ただし、靴などで踏まれた部分はなかなか元に戻らないので、湿原内では木道から絶対に降りないようにしましょう。三脚などを立てるのも厳禁です。

コース詳細

葦毛湿原駐車場から出発。駐車場から湿原の入り口までは、1km程度歩きます。「長尾池」と呼ばれる大きな池の横を通って進みます。

しばらく歩くと「憩いの広場」に到着。トイレはここで済ませておきましょう。トイレのそばには奇妙な形の木があり、撮影スポットになっています。

湿原の入り口には、各種案内板が立っています。情報を確認し、備え付けの足拭きマットで靴の裏を拭いてから湿原に入りましょう。

案内板の中には、季節ごとに見られる花の一覧も。確認してから湿原に入ると、季節の花が見つけやすくなります。

湿原内では、常に木道の上を歩きます。緩やかに傾斜しており、濡れていると滑ることもあるので、踏み外さないように注意。

8月上旬には、白い翼を広げたような、かわいらしいサギソウの花を見ることができます。

シラタマホシクサが9月が見頃。この時期は小さな花が一面に咲きほこる景色を目当てに多くの人が訪れます。

葉に生えた腺毛で虫を捕らえるモウセンゴケも探してみましょう。白い花をつけるモウセンゴケと、ピンクの花をつけるトウカイコモウセンゴケが自生しています。

湿原内には、指定希少野生動物種に認定されているヒメヒカゲなど、希少な昆虫も数多く生息していますよ。

【もっと登山を楽しみたいなら】葦毛湿原~神石山コース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表
「やっぱり登山もしたい!」という方には、湿原を抜けて座談山と舟形山を越え、神石山の山頂を目指すコースがおすすめです。やさしめのコースではありますが、登山の用意をしっかり整えたうえで挑戦するようにしましょう。

コース詳細

案内板に従って湿原を抜け、まずは二川TV中継所を目指します。途中、何度か分岐がありますが、案内板が立っているので確認しながら登りましょう。

一息峠と名付けられた峠には、一息つくことができるベンチがあります。疲れたら、ひとまずここで休憩を。

二川TV中継所に到着。ここからは、豊橋の街並みが一望できます。更に進むと、鉄塔が立つ座談山の頂上に出ます。

座談山の頂上からいったん下り、今度は船形山を登ります。頂上には、船形山城址の碑がたっています。

さらに進むと、急な階段が現れます。これを登りきれば、神石山の山頂に到着。

山頂に着くと、「神石山(旧航空灯台跡)」の案内板が出迎えてくれます。十分なスペースがあるので、ゆっくりと休憩しましょう。

山頂の周囲は木に囲まれていますが、一部眺望の開けた場所があり、浜名湖を望むことができますよ。帰りは登ってきた道を下り、葦毛湿原駐車場へ。

下山後に立ち寄りたい周辺情報

下山後のお楽しみとして、食事や入浴ができる近隣の立ち寄りスポットをご紹介します。

せいろ蒸し絹さや

葦毛湿原駐車場近くにあるせいろ蒸しのお店です。夜の部は要予約。営業時間や定休日が変更となる場合もあるため、前日までに予約を入れてから訪れるようにしましょう。

住所:愛知県豊橋市岩崎町字長尾56-1
電話番号:0532-62-9916
営業時間:11:30~14:30/18:00~21:00
定休日:火・第1月曜日

せいろ蒸し絹さや

人蔘湯

市電東田本線「新川」駅から徒歩2分の場所にある、昔懐かしいたたずまいの銭湯。ヒノキの香りがただよう湿式のラジウムサウナ風呂が人気です。

住所:愛知県豊橋市神明町47
電話番号:0532-54-4535
営業時間:14:00~24:00
定休日:水・木曜日
料金:大人420円/小人150円

アクセス・駐車場情報

各コースの起点となるのは、葦毛湿原駐車場。第1駐車場よりも、第2駐車場の方が湿原に近い位置にあります。車でも公共交通機関でもアクセス可能です。

葦毛湿原駐車場

【車でのアクセス】
東名高速道路「豊川IC」より車で約30分
駐車台数:約80台(無料)

【公共交通機関でのアクセス】
豊橋駅東口から豊鉄バス飯村岩崎線「赤岩口行」乗車、「岩崎・葦毛湿原」下車、徒歩約15分
豊鉄バス時刻表

散策メイン? 登山メイン? 楽しみ方は自由!

季節ごとにまったく違った表情を見せる葦毛湿原。アクセスのよさも手伝って、繰り返し足を運ぶ人も多いハイキングスポットです。湿原をゆっくり散策したり、少し足を伸ばして登山にも挑戦したり。いろいろな楽しみ方ができる葦毛湿原に、自分なりの目的を設定して出かけてみましょう!

【登山時の注意点】
・登山時にはしっかりと装備を整え、充分なトレーニングをしたうえで入山してください(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など)。
・登山路は複数あり、分岐も多くあるので、地図・コンパスは必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合った無理のない計画で登山を楽しんでください。

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